風邪の唸り
*大体廃病院
勇者「ごほっげほっ!」ガチャ
魔王「勇者。まさか、貴様とここで出逢うことになろうとはな」
勇者「魔王!」
魔王「運命とは数奇なものよ」
勇者「運命?そんなもの、私は信じなごほえっ!」
魔王「見たところ。下級病魔、風邪にやられたみたいだな。これはいい笑い草ができた」
勇者「ほざけっ!くうっ……!」
魔王「では、診察を始めようか」
勇者「望むところだ!」
魔王「どこか、痛むところはあるか?」
勇者「頭が、全身が痛みやがる」
魔王「万能医療器具、風の型。超神器」スッ
勇者「いいさ、受けてたつ。こいっ!!」バッ!
魔王「ふむふむ」ピトリ
勇者「腹が凍てつく!こほっ、はやくしろ!」
魔王「そう急かすな。さあ、背を向けろ」
勇者「ちっ!なんという屈辱だ……!」
魔王「ふむう……」
勇者「はあ……はあ……ごほえあっ!!」
魔王「次は口を開けろ」
勇者「…………」あー
魔王「よし。いい子だ」ニヤリ
勇者「っあー!どうだっ!!」
魔王「咳や頭痛の他に、鼻水に吐き気や腹痛といった症状は?」
勇者「ああ。全て揃えてきた」
魔王「そうか。では、診断結果を教えてやろう」
勇者「こい。私は覚悟ができている」
魔王「ただのインフルエンザだ」
勇者「はんっ、やっぱりな……」
魔王「と、最後に注射だ」スッ
勇者「心臓にか!?」ビクッ
魔王「さてな」ニヤリ
勇者「そもそも私は注射が嫌、触るなっ!ごほんほっほっ!」
魔王「いいのか?このままでは悪化する一方だぞ」ニヤニヤ
勇者「……もういい。好きにすればいいさ!」
プスッ。
勇者「いいいいい……!」プルル
魔王「ふっふっふっ、直ぐに終わらせてやる」
勇者「くうっ、ふんほっ!腕をやられたっ!」
魔王「これで以上だ。帰って薬を飲んだら、しっかりと休養しろ」
勇者「望むならそうしてやるさ……」フラ…
魔王「待て」
勇者「それは飴ちゃん!」
魔王「一つだけだぞ」
勇者「えー」
魔王「ったく、しょうがない奴だ。二つまでだ、それ以上はない」ヤレヤレ
勇者「ありがと……ね」
魔王「お大事に」
勇者「うん」