鶴の御返し
*お外寒い
勇者「肉が食いたい」ぐぅ…
鶴「いたいよぅ」ぽろぽろ
勇者「何だ、罠に鶴がかかっちまったか」
がっちゃんぽん。
鶴「ふぇぇ……」ウルウル
勇者「いいよ、行け。今日は雪が綺麗だから、見逃してやる」
鶴「アリが九匹でありがきゅー」ぺこりんちょ
勇者「一匹は引っ越しのバイトかな」にこっ
鶴「さよならー」ふらいあうぇい
勇者「んー!今日も良いことしたなー!」ノビー
*おうち
勇者「そろそろ寝るかな」
こんこんここんこんここん。
勇者「誰だ!こんな夜中に」
がらっ!
魔王「私だ」
勇者「魔王!」
魔王「この場所を、今から私の支配下に置く」
勇者「何!?そうはさせるか!」ザッ
魔王「夜も遅い。無駄な争いは止そう」
勇者「何!?そうは言っても」
ぴしゃん!
魔王「一晩だけで構わない。もし私に応えるならば、貴様が望むのなら。世界の半分をくれてやろう」
がらっ!
勇者「断る!」
ぴしゃん!
魔王「世界の半分は、平和が約束されるということだぞ」
がらっ!
勇者「その手にはのらん!」
ぴしゃん!
魔王「残る半分は、私を倒して奪えばいい」
がっ、がたがたっ。
勇者「…………」
魔王「迷うことなどっ、ないだろう」
がたがたがたっ、がたっ。
魔王「さあ、未来への扉を開け!勇者としての勇気ある決断で、貴様の覚悟を示せ!!」
がらっ。
勇者「約束だ。いいか、約束だぞ」
魔王「ああ。貴様が、私に勝てるならば」ニヤリ
勇者「一晩もかかるまい」ニヤリ
魔王「では、これを受け取れ」ガサッ
勇者「これは何だ」
魔王「これを食べて、体力を回復しろ」
勇者「だから何だ」
魔王「鶴の丸焼きだ。雀色時、弱っているところを」
ぴしゃん!