勝利の審判
戦闘球技、サッカァ~ンとは。
ブリーフ世紀、百二年。四月四日。
雨ののち、曇りののち、晴れののち、アイドルののちの誕生日のこと。
魔王と王による世界規模の陣取り合いに疲弊した、国境無き平和主義の人々が、球技で決着することを、魔王と王を騙して勝手に決定した。
それが名付けて、戦闘球技サッカァ~ンである。
ルールは至極簡単。
時間は無制限。
参加出来る人数は、一チーム必ず十一人。
で、選手がなんやかんやで相手のゴールに球を蹴り入れ、先に五得点を決めたチームが勝利となる競技である。
競技後。
球技協会が協議を重ね、勝利国が相手国の公園を、ひとつ、支配することができる。
さて、今回の物語は、それから果てしない時が過ぎた未来でのお話。
トランクス世紀二千二十年、四月四日。
晴れののち、嵐ののち、アイドルののちの誕生日。
*国際戦闘球技場タマイジリヨン
インモー「実況はミー。実況ロボット、ソリアゲ・インモーがお送り致します」
魔王「今回我がチームは、最強の婦人を揃えてきた」
王「おいどんも同じ。最強の夫人を揃えてきた」
インモー「おっとこれは!?両チーム共に、おばちゃんで揃えてきたー!」
審判「そうか……よし。準備はいいな」
インモー「さて、いよいよキックオおーっと!おばちゃんがおばちゃんを殴ったー!これは不意打ちだー!」
おばちゃんがおばちゃんを殴り、おばちゃんがおばちゃんを蹴る!
インモー「しかし誰もボールを蹴らないっとう!?通天閣ボンバーのゴールキーパーが飛んだ飛んだ……飛んで飛んで飛んでえええ!!」
おばちゃんが素敵に空を舞うと、対しておばちゃんが華麗に急回転を始めた。
インモー「回って回って回ーるううう!アメチャンイルカのおばちゃんがそのまま巨大な竜巻を起こっすぅ!!」
巨大な竜巻は、敵味方関係無くおばちゃん達を巻き込み、たまたまボールを巻き上げた。
インモー「ああんっ!ボールは一体どちらに渡……ここでおばちゃんがきたあああああ!!」
おばちゃんの情熱溢れる社交ダンスは、見事にボールを敵陣へと踊らせる。
しかし。
インモー「ここでおばちゃんがたちふさがーるっ!あれは!?まさか!?どれだ!?でたあああ!!」
おばちゃんの全身から放たれた強烈な香水のかをりが、おばちゃん達に鼻をつまませ、おばちゃんの行列をつくる。
インモー「その隙に、ゴオオオオオル!それは一瞬!おばちゃんのチャリンコブレーキテクニックがきぃまったあ!憎いぜ!」
おばちゃんが一点を決めたこの瞬間を起点に、通天閣ボンバーは勢いを増すと、さらに二点を重ねた。
審判「ピロロロロロ~」
インモー「ここで、審判の尺八が鳴りました。えーと、試合は半額セールへと移ります」
魔王「そんなルールあったか!?」ガタッ!
王「すまんおいどん、ルールを知らん!いぇあ!!」ノリノリ
魔王「えー……」
おばちゃん達が、一斉に構える。
その内の一人が、蚊にかまれる。
審判「ピロロロロロ~」
インモー「おばちゃん達が笛の音を合図に、商品棚へと駆け出す!その勢いに弾け出す商品!補充だ補充だと、酒出す酒屋!鮭出す魚屋ー!」
心が弾んだ、ボールも弾んだ。
インモー「とっ!水泳歴三十年のベテランおばちゃんが味方を呼び込み、開けたスペースからボールが相手ゴールに飛び込みいいいいい!!」
この反撃の一点が嵐を呼ぶぜ。
突然訪れた激しい雷雨の中、アメチャンイルカはさらに得点を追い上げ、観客を盛り上げた。
インモー「得点は同点!意外な展開に気が動転する以外に、観客に訪れた驚天動地の災害に私は胃が痛みます。あ!私胃が無い!無いよ!!」びっくり!
審判「…………」スッ
魔王「あれは!」
王「まさか……」
インモー「ここでクーポンカードがでたぞおおおおお!!」
おばちゃん群がり、審判ウザがり、嵐去り、ラジバンダリ。
インモー「さて。ようやく買い物を終え、いよいよ晩御飯の支度、アディショナルタイムへと突入致しました」
ここで、次々とおばちゃん達が色々とやらかすわ散らかすわ。
どうやら。
サッカァ~ンにのめりこんでいたおばちゃん達に、料理は難しかったみたいだね。
負傷したおばちゃん達は、我先にと次々と帰宅した。
そして残るおばちゃんは、それぞれ一人ずつとなった。
インモー「おばちゃんの家計火車がさくれつぅ!やんっ!これはもうれつぅ~」
そして互いの得点は。
インモー「おばちゃんの無駄毛処理が完了!その毛量がこの一点の重さだっちゃ!!」
ついに一点を残すのみとなった。
審判「時は来た」ニヤリ
インモー「なんと!?二つのゴールが勝手に動き始めたあああああの?」
やがてゴールは中央で一つとなり、ボールと二人のおばちゃんを一つに閉じ込めた。
審判「ピロロピロロピロロロ~」
インモー「え?試合終了?」
審判「そう。引き分けだ!」
魔王「馬鹿な!そうならぬようルールを考えたハズだ!」
王「うむ。このような横暴を働き、逃亡できると思うなよ!!」
審判「ふふふのふぅ!私を誰と心得る?」
魔王「猿でも知るか!」
審判「俺は、国境無き平和主義団体ドチラモコノミネの一員にして、世界を変える任を背負った、勇気と根気と熱気を持った漢。その名は!そのー名は!!」
バッ!
勇者「勇者だあああああ!!」
魔王「勇者……だと!?」
インモー「もう何が何だかいかいかいかい……!!」カイーノ
インモー、爆発して果てる。
魔王「勇者とやら!世界を変えるとは如何にして為す!」
王「うん、今日の夜ご飯。イカにナスがいい。うんうん、はーい、じゃまた後でね」
ピッ。
王「答えられるものなら答えよ!!」
魔王「ちょ、えー……いいところん、もーう」
勇者「俺は勇者であり、審判だあああああ!!」
魔王「ぐあああああ!!」
王「せこっー!」ズコッー!
こうして、後に世界の公園は。
ドチラモコノミネの働きにより、国境なき和平の場所となり、その隣には勇者とインモーの像があり、そこは公平と太平を築く也。
ところが。
魔王が支配欲に取りつかれ、勇者達ドチラモコノミネに争いを仕掛ける。
対して、性欲に取りつかれた王のバックアップ&サポートを受け、勇者達ドチラモコノミネはそれを迎え撃つ。
さらには、黄泉よりノリノリで甦った、伝説のアイドルののちが一石を投じるのだが、それはまたいつかの夢ののち……。




