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魔王と勇者の出逢い方  作者: 行方不明
16/39

ないてないもん!

*取り調べ室


魔王「ようこそ勇者殿。さっそく、取り調べを始めようか」


勇者「くっ!魔王……!」


魔王「この私が、直々に取り調べてやるのだ。感謝しろ」


勇者「感謝などするか!」


魔王「最後の食事に、拷問のフルコースを味わいたいか?」


勇者「ミスジステーキセットで」


魔王「おい」


悪魔人はむちぃ「はっ!ただちぃに!」


勇者「あ!グリーンピースは大盛りだぞ!」


悪魔人はむちぃ「てめーちょーしのってーと?まじぶっころすはむよ!?」


魔王「うっとおしい。とっとと下がれ!」


勇者「おい」


魔王「何だ」


勇者「今日のスープは?」


魔王「確か……おお、そうだ。カボチャスープだ」


勇者「やったあ!」


魔王「では、取り調べを再開するぞ」


勇者「うん」


魔王「容疑は、器物損壊に不法侵入に無銭飲食。加えて窃盗か」


勇者「で?」


魔王「詳しくもう一度話せ」


勇者「……この街に昨夜遅く到着した私は、それはとても腹が減っていた。そこで、適当な飲食店の窓をぶち破り中へ、続けて厨房でトリプルチーズバーガーセットをこしらえて食すと、疲れていた私はそのまま二階へと上がり、そこにあった座敷でグッスリと眠った」


魔王「勇者……なんと恐ろしいやつ」


勇者「へっ」ニヤリ


魔王「笑うな!!」ピカッ!


勇者「ぐああ眩しい!よせっ!」


魔王「やめぬ!私は知っているぞ、貴様が光に弱いことを!!」


勇者「そう!私は闇属性を得意とする!だからほんとやめて、ね?」


魔王「ならば認めろ!ナゲットも食したことを!!」


勇者「ナゲットは、セットに含まれているだろう!」


魔王「バカ言え!これを見ろ!」


勇者「それは!ちっ、メニューか……」


魔王「さらには、オマケのオモチャを盗んだな!サンリオオサカのキャラクターであるコナモンの、卓上から絶対に落ちない走るオモチャを!!」


勇者「そ、それもセット!だからやめろっ!!」


魔王「よし、ライト攻撃はやめてやろう。ただし、いい加減に罪を認めるんだ」


勇者「…………」


魔王「ここに。お前の指紋がべったりついたコナモンが、証拠としてある」スッ


勇者「ああっ!返せ!返せ返せ返せ!!」


魔王「いくら暴れようと、三十の鎖は砕けぬぞ」


勇者「くうっ……!」


魔王「こんなことをして……。お前の大好きなコナモンが泣いているぞ」


勇者「コナモンッ……!」


魔王「…………」


勇者「……私は……私は、どうすればいい?」グスッ


悪魔人はむちぃ「おまちぃ」コトッ


魔王「罪を認めて、温かい食事を終えたら。このコナモンを連れて、新しく人生をやりなおせ」フッ


勇者「魔王様!」


勇者を縛る心と身体、二つの鎖が砕ける。

そして改心した勇者の胸へと、コナモンが変わらぬ笑顔で走り出した。

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