ないてないもん!
*取り調べ室
魔王「ようこそ勇者殿。さっそく、取り調べを始めようか」
勇者「くっ!魔王……!」
魔王「この私が、直々に取り調べてやるのだ。感謝しろ」
勇者「感謝などするか!」
魔王「最後の食事に、拷問のフルコースを味わいたいか?」
勇者「ミスジステーキセットで」
魔王「おい」
悪魔人はむちぃ「はっ!ただちぃに!」
勇者「あ!グリーンピースは大盛りだぞ!」
悪魔人はむちぃ「てめーちょーしのってーと?まじぶっころすはむよ!?」
魔王「うっとおしい。とっとと下がれ!」
勇者「おい」
魔王「何だ」
勇者「今日のスープは?」
魔王「確か……おお、そうだ。カボチャスープだ」
勇者「やったあ!」
魔王「では、取り調べを再開するぞ」
勇者「うん」
魔王「容疑は、器物損壊に不法侵入に無銭飲食。加えて窃盗か」
勇者「で?」
魔王「詳しくもう一度話せ」
勇者「……この街に昨夜遅く到着した私は、それはとても腹が減っていた。そこで、適当な飲食店の窓をぶち破り中へ、続けて厨房でトリプルチーズバーガーセットをこしらえて食すと、疲れていた私はそのまま二階へと上がり、そこにあった座敷でグッスリと眠った」
魔王「勇者……なんと恐ろしいやつ」
勇者「へっ」ニヤリ
魔王「笑うな!!」ピカッ!
勇者「ぐああ眩しい!よせっ!」
魔王「やめぬ!私は知っているぞ、貴様が光に弱いことを!!」
勇者「そう!私は闇属性を得意とする!だからほんとやめて、ね?」
魔王「ならば認めろ!ナゲットも食したことを!!」
勇者「ナゲットは、セットに含まれているだろう!」
魔王「バカ言え!これを見ろ!」
勇者「それは!ちっ、メニューか……」
魔王「さらには、オマケのオモチャを盗んだな!サンリオオサカのキャラクターであるコナモンの、卓上から絶対に落ちない走るオモチャを!!」
勇者「そ、それもセット!だからやめろっ!!」
魔王「よし、ライト攻撃はやめてやろう。ただし、いい加減に罪を認めるんだ」
勇者「…………」
魔王「ここに。お前の指紋がべったりついたコナモンが、証拠としてある」スッ
勇者「ああっ!返せ!返せ返せ返せ!!」
魔王「いくら暴れようと、三十の鎖は砕けぬぞ」
勇者「くうっ……!」
魔王「こんなことをして……。お前の大好きなコナモンが泣いているぞ」
勇者「コナモンッ……!」
魔王「…………」
勇者「……私は……私は、どうすればいい?」グスッ
悪魔人はむちぃ「おまちぃ」コトッ
魔王「罪を認めて、温かい食事を終えたら。このコナモンを連れて、新しく人生をやりなおせ」フッ
勇者「魔王様!」
勇者を縛る心と身体、二つの鎖が砕ける。
そして改心した勇者の胸へと、コナモンが変わらぬ笑顔で走り出した。




