バードケージ
勇者「魔王!」
魔王「勇者……しかし」
勇者「私と共に生きよう。たとえ世界を敵に回したって私は構わない」
魔王「勇……者」
勇者「そうだ。私は勇ましき者。お前のことは、いつまでも守ってやる!」
魔王「…………」
勇者「さあ、私の手をとれ!」
魔王「……っ!」
勇者「そら!」テヲトリ
魔王「あ!」
勇者「そしてこれを」スッ
魔王「なんと美しい指輪……」
勇者「魔王よ。私と結婚して下さい」
魔王「……はい!」
*という映画で、ここは愛の巣
魔王「何度見ても感動するのう」グスッ
勇者「…………」スヤ…
魔王「……」ほっぺつねー
勇者「ったたた!」
魔王「まーた寝おってからに!」
勇者「あ?だってつまんね、いたたた!やめろっ!」
魔王「お前さんは覚えておるか?うちらの出逢い」
勇者「ああ、忘れられるか」
ほんわか~。
勇者「王様」
王「おお、どうした勇者。なぜ帰還した?」
勇者「俺は旅の果て。魔王の城ではなく、ある真実に辿り着きました」
王「む?」
勇者「あなたは魔王を利用し、世界の経済を支配している!」
王「いきなり何を申すか。それは、我に対する侮蔑ととらえてよいな!」
勇者「ああ、もう見下しまくりだよ。だから聞けっ!!」
王「っ!……好きに申してみろ」
勇者「あなたは魔王という存在を利用して、魔王を倒すことを使命とする、勇者という特別な職業を作った。そしてその職業の維持や支援を面目に、今も国中から多額の税金を集めている。だがそれは、王の傲慢な経済戦略。この国を滅ぼそうとする敵の存在も、全てあなたの作った幻。違うか!」
王「違うよん?そんなの、ぶっちゃけありえなーい!」
勇者「囚われた魔王を救えば。その糞みたいにふざけた嘘は、二度と言えまい」
王「貴様そこまで……!」
勇者「魔族を支配するための人質らしいな」
王「どこの町人が漏らした?今すぐ」
勇者「魔族の町は全て俺が解放した。いいか王様!今すぐ、大人しく魔王を解放しなければ、明日にでも世界規模の争いが起こるぞ!!」
王「そうならぬよう、まずは貴様から排除すれば良いだけのこと!皆の衆、であえであえい!!」
大勢のまげちょんが勇者を囲む。
勇者「俺は悲しいよ……。愛する国と、戦わなきゃならないなんてさ」
ほんわかぱっぱ~。
魔王「そしてお前さんは、その迫るまげちょん達を苦心しながらも倒すと、何とかうちを救いだし、次に愛する国を救うべく奮起することを、うちと共に夜明けに誓った。のであった!」キラキラ
勇者「嘘つくなクソババア」
魔王「誰がクソババアじゃあああ!!」ガタッ
勇者「そもそも、まげちょん、て何だよ。めっちゃ弱そうじゃねーか」
魔王「は?まげちょんはのう、選ばれた戦闘部族の純血統の中から」ペラペラ
勇者「はいはい」
魔王「聞いておいて何じゃその態度は!お前さんは、いつもいつも」
勇者「お前を愛している」キリッ
魔王「やんっ!」トキメキイェイッ!
勇者(ちょろいもんだ……)




