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気づいたら犯罪者だった  作者: あいしぇいと
第一章 覚醒
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  閑話 「エル君との出会い①」

 

 あたしの名前はロズ・ファールト!


 歳は、20と……ちょっと!

 元気が取り柄のふつーの女の子です!


 ……と、ちょっと自己紹介をがんばろうと思ったけど、あたしにはそーいうの向いてないや。

 元気なのは嘘じゃないけど、ふつーかっていうと、そうじゃない。



 まず、革命軍ってのに所属しているし。

 ちなみに加入したのは十年前くらいかな?

 けっこー経ってるけど、周りにはもっともっと長く所属している人がいて、あたしなんてまだ下の方。



 革命軍に入るきっかけは……

 うーん、あんまり思い出したくないや。


 とにかく! とにかくよ!

 革命軍のトップとかいう人が、すごいイケメンだったの!

 思春期真っ盛りだったあたしにとって、ちょっとクールな大人の人にびびっときちゃって……

 背中を追っかけてたら、革命軍に入ってたって感じかな、あはは。


 別に、好きっていう感情じゃないよ?

 どっちかっていうと、憧れかな。

 歳で言ったら、あたしのお父さんくらいには離れているしね。




 イケメンで思い出したけど、今言ったトップのシンさん……と、うちの支部長のギガさんはいい意味で争ってて、

 あたしたち女子勢ではシンさん派とギガさん派に真っ二つに分かれてるくらい。



 シンさんはさっきも言ったけど、クールなのよ。うん。

 あんまり感情を表に出さない感じなんだけど、語りかけるときに見せる笑顔がヤバイ!

 知的で、ばしばしっと周りに指示を出す感じが痺れちゃう。


 最近は忙しそうで、世界中を飛び回っているから、なかなか会えないけど……。

 もう一度ごはんたべながらお話したいなぁ。



 一方のギガさんはシンさんと違って、熱血豪快のワイルドな感じ。

 ひげもたくわえちゃってるし、筋骨隆々だし……

 たまにふかしている葉巻が大人な感じを後押ししてる!


 あの人とプライベートの話をしちゃうともーほんとすごいみたい。

 乙女の心をがしっとキャッチ? されるって! ほんとかなぁ。


 ま、セレンやネイヴィがそう言ってるだけで、違うかもしれないけど……

 でも、奥さん20人以上いるもんね、すごいのだけはわかる。



 今のでわかったと思うけど、あたしはシンさん派なの!

 革命軍の仕事をがんばっていれば、きっとまたいつか会えるって、信じて活動中。




 そんな中、あるニュースが転がり込んできたのよ!


 グリドとテラが、諜報活動中に、シンさんの息子を救出してきたって!


 テラの話はちょこちょこ聞いていたから、

 シンさんの息子……エル君がどんな子かは知っていたんだけど、

 まさかこの支部に運ばれてきているなんて!



「あっ、グリド! おかえり~!」

「ん? おう」


 廊下であくびをしている大男発見。

 わ~グリドだ。久々だな~。ぺしぺし。


 あたしはとりあえずグリドの背中を叩く。

 おっきいのよ、この背中。ほんとに叩きがいがある!


「ねぇ、グリドっ、エル君来てるんでしょ? どこどこ?」


 あたしは叩くペースを速めながら、グリドにきいてみる。

 エル君を担いできた本人だから、場所くらい知っているよね。


「ん? ああ、あいつか。あいつなら病室で寝てるんじゃないか? テラが看てる」

「よしっ! いくわよ!」


 でかしたグリド!

 あたしは強引にグリドを引っ張って、病室のほうへ歩みを進めた。


「まじかよ……いいけど俺は寝るぜ?」


 グリドはなんだかんだ言いながらおとなしくついてくる。

 めんどくさがりなんだけど、だいたい流されるのよね。

 ま、拒否したら頭突きかましちゃうけど!




「ここだ、開けるぞ」


 病室の前に着いたとき、グリドがいきなりドアノブに手をかける。


「ちょちょ、ちょっと待って!」


 急に緊張してきたあたし。

 エル君って、どんな子なんだろう。

 シンさん似なのかな。それともまだ知らぬお母さん似?

 どうしよう、超かっこよかったら。


「の、のぞくわよ。 ちょっとだけ!」

「はぁ~? んなもん面倒だろ、入っちまえばいいじゃね……っててててわかったわかった」


 いきなり会うって考えたら胸が張り裂けそうになったので、のぞくことにしよう!

 口答えするグリドの耳をつねりながら、そ~っと病室をのぞく。


 ぐ……見えない。

 グリドがでかすぎるのよ。


「グリドっ、少しかがんで! 見えないって!」

「うーい……」


 腰を曲げるグリドに乗っかるようなカタチで、扉の隙間から中を見る。



「で、エルはどうするの」


 テラ発見。なんか会話してる? 

 ってことは、エル君はもう目が覚めているんだ!


「だから、これからのことさ。僕たちと一緒に活動するんだよね?」


 わお、もしかしてこれって勧誘じゃない!?

 そっか、エル君も覚醒者のはずよね?

 ならそうなるのも筋か~


 って、そこじゃないそこじゃない、なんとか顔見ないと!かおっ!かおっ!


「おい、体重かけすぎんなって、けっこうツライぞ……」


 あたしはかなり前のめりになっていて、グリドは膝を震わしていた。

 なに言ってんのよ、鍛えてるんでしょ! 耐えなさい!


 ちなみにあたし、そんなに重くないからね?



「も、もー少し……」


 がんばってみたら、黒い髪がうつった!

 シンさんと同じ、真っ黒の髪だ~


「ろ、ロズ……きついって……」

「がまんしなさい! もう少しで顔が見えるのよッ!」


 あたしは小声で叫ぶ。

 もう少し、もう少しなの……!


「ああ、よろしく頼む」



 ――!!



 エル君がしゃべった!?

 キャー!!!! なんかかっこいい声!

 って、うわあああっ!?


 エル君の声を聞いた瞬間、グリドがバランスを崩した。

 というか、あたしがバランスを崩したのかも?


 ――ドタドタドタァン!!!!


 あたしたちは、そのまま雪崩れ込むように病室の中へ。

 あちゃー。やっちゃった!


「なんだい、みんな。盗み聞きかい」


 テラが微笑みながらあたしたちを見下ろしてる。

 あんたはどーせ気づいてたでしょ!



 あたしは体を起こしながら、さりげなく見る。

 ちらっと。

 ちらっとよ。


 エル君の顔は、シンさんそっくりだった。

 や、シンさんよりはちょっとかわいい感じ?

 きょとんとしたその表情は、クールっぽさは無いけど……


(ちょっとカッコイイかも……)


 あたしはそう感じていた。



 うへ……。

 意識しちゃったら、急に恥ずかしくなった。

 あたしはごまかすように、とにかくグリドのせいにしておく。


「いや……俺は面倒だからいいって言ったんだが……」


 ちょっと……!

 それじゃああたしが覗きたがりみたいじゃない!

 間違ってないけど!空気読みなさいよ!



「エル、紹介するよ」


 テラが椅子に座ったまま、体をひねってあたしたちの紹介を進める。

 だ、大事よ、ちゃんと紹介してね、って……こいつ!


「なにより豊満なバスうごっ!?」


 ひっさつエルボー!

 テラの額にクリティカルヒット!


 なに変な紹介してんのよ!

 もう! 第一印象って大事なんだからね!!


「えへん。紹介にあずかりました、ロズ・ファールトです! よろしくね、エル君!」


 苦手な自己紹介。

 さらっと、ふつーに。

 恥ずかしいのを隠しながら、胸を張って、はきはきと!


 できたかしら?

 胸の前においた拳に、自分の心臓の音が伝わってくる。

 う、うわ~。


 エル君は、まだ動揺をしているようで、

 目をぱちくりしながらあたしの顔を見た。


 あ、あたし、変な顔してないよね!?


 かと思うと、視線を少しずつ下げて、拳の辺りでとまった。

 というか、あたしの胸を見ていた。



 うー恥ずかしい……。


 男の人は、みんな好きなんだよね? コレ。

 昔から発育がよくて、最近でもほんと肩がこるんだけど……


 見てるってことは、エル君も好きなのかな……。


 と、エル君の視線を追っていると、すぐさまあたしと目をあわせて、軽く会釈をしてくれた。

 ちょっと、照れてる? のかな?



 と、冷静に相手の心情を分析しようにも、あたし自体動揺しちゃってるし……。

 とにかく話をつなげなきゃ!


「ほら、グリドもっ! 挨拶しといたら!?」

「あー」


 こーいうときはグリドよ!

 ちゃんと気の利いたこと言いなさいよ!


「知っていると思うが……グリドだ。まぁいろいろ、騙すようなことをして悪かったな」


 グリドは髪を掻きながら言う。

 あれ? グリドも照れてる?

 もしかして、強がる必要なかったかも?



「そういえばロズさん、エル大怪我してるからさ、お願いできる?」


 お?

 そうやって自分の自己紹介の反省をしていると、テラが声をかけてくる。


 そういえば、エル君、怪我をして運ばれたんだっけ。

 顔には包帯巻いてあるし、耳あたりまで覆ってある。


 見た感じ、胴体のほうもやられてるのかな?


 ま、いいや。

 久々の治療だ~。 やってあげようじゃないの!


「焼肉……いや、革命軍加入祝いで肉まん3個で手をうつわ!」

「えー僕持ち? 治すのエルなのに……? まぁ仕方ないね」


 あたしの要求に、テラはしぶしぶと頷いた。

 やるからには、タダはいけないわよ!

 力を使うと、ほんとにお腹すくんだからね!


 って、これじゃあエル君に変な勘違いされないかな?

 大食い女とか、思われちゃったりする?

 ……うー、でもこれは仕方ない!



 食べ物に関しては、乙女を捨てているのよ! あたし!




 エル君と少し会話を進めながら、容態を確認する。


 これは、治療、これは治療よ……。

 いつもどおり、仕事なんだからっ……。


 あたしは頭の中で平静を保つよう言い聞かせながら、エル君の手をとる。


 うへ。

 あったかい手。

 かわいい顔のわりに、男らしい手だなぁ……。


 ――じゃないじゃない! やるのよあたし!


「いくよー」


 あたしは目を見開いて、集中。

 力を使うときのコツは、とにかくイメージをうまく完成させること。

 あたしの場合、自分の中に溜め込んだカロリーを、ゆっくりと移動させていくイメージ。


 よし。発動。

 じんわりと手が熱をもち、光を放つ。


 そのままカロリーを移動させるイメージ……。

 お、順調~。


 あたしはエル君の体に暴食の大罪因子があるであろうことを伝えつつ、さくさく治療を進める。

 カロリーの移動さえやっちゃえば、あとは自動的に損傷組織が作り変えられる。


「はい!完了ッ!」



 エル君は、治った体の様子に驚きながら、とても喜んでくれていた。

 これは、イメージあっぷかな?


 えへへ、治療能力あってよかったな。



 それから、いろんなことをエル君に教えた。

 暴食の大罪因子のこともそうだし、他の系統や相性のことも。


 エル君はだまって話を聞いていた。

 時々頷きながら、情報を整理しているようだ。

 なんか、普段のシンさんを思い出させる。

 やっぱ、親子なんだなぁ。



 ぽーっと、会話を楽しみながらエル君を眺めていた。

 んだけど……。



 ――ぐるるるるる



 あたしの体は、限界でした。

 副作用の”生理的欲求の強制解放”は、どうしようもない。



 とほほ。

 これじゃあイメージ悪くしちゃうじゃない。

 肉まんたくさん食べて、すっきりしよっと。




 ということで、緊張アリ失敗アリで、エル君との顔合わせ完了!

 いちおーこれからあたしたちの部隊に入るみたいだし!



 仲良くなれると、いいなぁ。

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