第42話 甘い微睡み
裸で抱き合うのは心地がいい。それは多分、相手が悠だからだ。
男の人の手が苦手だったときがあったなんて嘘みたいに思えた。あれは全部悪い夢だった。悠が自分を救ってくれたんだ。
気遣う悠に応じながら、すべてを脱ぎ捨てて一つになった。噂話や小説にあったように痛みは確かに感じたけれど、常に様子をうかがって加減してくれたのかつらくはなかった。
好き……なんだなあ……。
行為が終わって、上がった息を悠の腕の中で整える。気持ちが満たされていた。
「……よかったの?」
ぼそりと告げられた。悠の息も少しだけ上がっている。
「想像してたより……気持ちよかったです……」
「そうじゃなくて。俺で本当によかったの?」
ああ、そういう意味か。
思考がぼんやりしている。
「今は、悠さんじゃなきゃダメです……」
「これからもそう言わせることができたらいいけどね」
ぎゅっと抱きしめられると。身体が切なく震えた。快感が全身に残っている。
「……かわいい」
「そう、ですか?」
「もっと可愛がってあげたいけれど、ハジメテだからね。我慢するから」
史華は小さく頷いて、悠の胸に顔を寄せる。
大丈夫。怖くない。
身体を開かれたことで疲労したのだろう。だんだんと眠くなってくる。




