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色とりどりの黙示録  作者: owen
第2章 開幕
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?の章 第5節

 

 彼女の、その顛末を見た。

 正確には、『思いだした』。

 目を覚ました時、涙を流していた。それに反して鼓動は一定のリズムを保っている。落ち着いた鼓動に反し、感情は大きく揺らいでいる。

「……」

 彼の元へと足を運んだ。

 彼の部屋に入る時、右手にはグリップのない、形状は刀に近い、白い剣が握られていた。

 いつもの歩幅で、彼に歩み寄る。

 彼の体の上に跨る。

「……ねぇ」

 彼の喉元に剣の切っ先を当てる。

 それを押すだけで、無防備な彼を殺せる。

「世界中のみんなが死ねば、私は苦しまなくていいんだって」

 当然、返事はない。

 彼は寝息を立てて、眠っている。

「私、苦しいの。もう、正気でいられないくらい」

 返事はない。

「だから……」

 剣を振り上げる。

 殺意を込めて、それを振り下ろす。

 ……………………胸に当たる寸前で、止めた。

 剣の切っ先は、微かに震えていた。

「……」

 彼の寝顔、寝息、寝相、そのどれもが愛おしい。

 消したくない。消したくない。消したくない。消したくない。消したくない。消したくない。消したくない。消したくない。

『じゃあどうする?』

 急かすような声で、彼は言う。

「別の手段にする」

『……いいのか?』

「うん……」

 剣を消す。

 彼の顔を覗き込む。

「私がこの世界のみんなを殺したとしても、君は許してくれるよね、黒希アニ

 青い瞳から涙が零れ、彼の頬に落ちる。

「今度こそ、君をそこから救い出すからね」

 彼の唇に誓いの口づけをして、彼の横で眠る。

「おやすみ黒希」


 これからも、ずーっと一緒にいようね。



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