サイドストーリー.5-2
『上級悪魔ナイトメアを抹殺。住民は……どうやら女神の娘が起こした奇跡で助かったようです。傷一つない』
「だが、項目がまた一つ破られた」
『ええ。その上、女神の娘まで逃した。大きな失態だ。すみません』
「……天使に罪悪感などない。謝罪の言葉など二度と口にするな」
『では、私は何と言えばいいのですか、ミカエル』
「もういい……天界へ戻れ」
『それでは広間で』
ウリエルの声が消える。
「あら、貴方もそんな顔をするのですね」
牢獄の中の女神が声をかけてくる。
「……」
「睨まないでください。怒りに顔を歪ませる貴方が珍しかったもので、つい」
憎まれ口を叩くが、その美しい容姿や温厚な声もあって憎もうにも憎めない。
穢れのない白い肌に、同様に白い長髪。
整った体型を包む白いブラウスとジーンズ。
そして、澄んだ青い瞳。
見た目の歳としてはおそらく十九か二十二ほど。
豊かな自然に囲まれ白い椅子に座る絵は、まさに神がなせる技。とても様になっていた。
「娘が助かったことが、そんなに嬉しいか。だがそれは、数十億の命が消失する可能性が一段階上がったということ」
「魔王は貴方が蒔いた種でしょう。私の子供たちを巻き込まないで欲しいんですが?」
「一つの命でみなが助かるなら……」
「貴方はいつもそれですね。罪のない子を殺して何が善ですか。貴方のそれは、ただの独善です」
「……貴様に何が解る」
「貴方が間違っていることは解っています」
女神は真っ直ぐにこちらを見つめてくる。
全てを見透かされてしまいそうで、堪らず目を逸らした。
「……ミカエル。貴方が自らの間違いに気付くことを願います」
「間違いだと」
天使を創ったことか?
ルシファーを追放したことか?
悪の全滅を望んだことか?
「ッ」
後悔したところで、今さら元には戻れない。
「……また次の機会に」
ミカエルは牢獄を後にした。
天使に後悔は無用。
なのに、油断するとこの頭はいつも悔いている。
「……くそッ」




