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色とりどりの黙示録  作者: owen
第2章 開幕
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緑の章 第6章

 

 叶達が取った行動は単純《シンプル》で効果的なものだった。

 相手の死角、背後を取る。不意打ちするなら、誰もが真っ先に思いつくこと。

 それに幻術を織り交ぜる。

 ナイトメアの聴覚一点に幻術をかける。わざわざ単体という的に絞らず、感覚にのみ集中することで効果は上がる。

 だが。

「酷い……」

 咲が窓の外の光景を見て、そうこぼした。無理もない。幾つもの戦場を見てきた叶でさえ悲惨だと思った。

 背後は取れたが、彼女達がついた頃には、もう群衆の半分は地面に横たわっていた。

 叶は無言で意識をナイトメアから群衆に移し、広範囲に微弱な幻術を展開した。

 幻術という微風が、群衆にかけらたナイトメアの幻術を吹き流していく。

 次々と倒れる人々。恐らく中には、もう助からない者もいるかもしれない。

 車を停め、三人は外へ出た。咲を除いた二人の表情は共通して、険しいものになっている。

 咲はというと、ナイトメアなる影に哀れみの眼差しを向けていた。

「咲、治療を頼む。俺と叶でナイトメアを倒す」

「治療って……」

 どうやってと聞き出そうとした叶を引っ張って、光助は駆け出して行った。

 意識を失い、或いは死んでしまった者達を見る。身近にいた者に歩み寄ると、ピシャリと生暖かい液体を踏んだ。

「ッ」

 恐怖が頭を支配する。動きまで制限される。

 立ち尽くしているというのに、呼吸が荒くなる。心臓が今にも弾けそうなほど加速する。

 人の死を見るのはこれが初めてではない。だからと言って慣れるはずもなかった。

 昔から何よりも尊いと教えられていた命が消失する瞬間。

 その命に、また新たな光を灯すために『私』はいる。

 解らない。どうして大事なものを傷つけるの?

 彼らが悪い事をしたの?

 なんの罪もない人達に、どうしてこんな酷いことをさせるの?

 いきすぎた平和主義思考。

 争ってほしくないという願望。

 それらの強い念《おも》いが、最悪の事態を齎す。


 Freya。

 女神の名が引き継がれる。

 その名が、彼女を人間から格上の存在へと変貌させてしまった。








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