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色とりどりの黙示録  作者: owen
序章
29/97

緑の章 第1節

 

 地獄から連想されるものは、火の海、亡者の苦痛な叫び、ツノの生えた悪魔。

 しかし、実際はそんなものはない。

 無数の鎖が行き交う赤い空。何処までも広がる緑のない乾いた赤い大地。自然的な気温という概念が存在しない。

それが地獄だ。


 地表から少し高い位置に『扉』が現れた。

 そこから、白く小さな人影が飛び出し、顔面から地面に落ちた。

「あぅッ⁉︎」

 白い人影、咲は顔を抑えながら、ゆっくりと起き上がった。

 立ち上がると、膝に鋭い痛みが走った。

「うっ……」

 見ると、右膝の真っ白な肌に痛々しい擦り傷ができていた。

 咲は、膝に右手を翳した。

 すると、右手が白く光り出した。

 光が消え、右手を引くと、傷は綺麗さっぱり消えていた。だが、体はまだ傷があると錯覚しているようで、痛みは残っていた。

 さっきのは、所詮傷の治癒にしかならない。痛覚までは鎮められない。

「うーん……やっぱり、呼吸が苦しい」

 力を使ったせいか、少し呼吸が荒くなり、疲労を感じた。

 咲の体は人間とは造りが違い、食事などは、基本必要としない。その代わりに、草木などといった自然の生命エネルギーを分けて貰って己の活力、生命力、魔力としている。

 その自然が、ここにはない。あったとしても、全て枯れてしまっている。

 乾いた空気があるだけマシか、と咲は割り切ることにして、歩き出した。









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