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色とりどりの黙示録  作者: owen
序章
28/97

黒の章 第1節

 

 早朝。まだ六時にもなっていない頃。

 白のシャツに黒のパーカー、黒のズボン姿の黒希は、家から離れた場所にある森林地帯にいた。

 道無き道を歩くこと数分、開けた場所に出る。

 この場所だけ、草木が刈られていた。

 その場所の中心にある、二枚の木の板で作られた十字架のオブジェ。

涼風すずか』と、オブジェの一端に刻まれていた。

「……」

 黒希はそれを見つめ、そして、右手に大鎌を出現させた。

 触れるたびに、強い痛みを感じる大鎌。

 それを左斜め上に振り上げ、オブジェを斬った。

「墓なんて、もう必要ないよな……ライカ」

 自らの『契約者』の名を呼ぶ。

 すると、黒希の横に黒いゴスロリ衣装姿の十歳くらいの少女が現れた。

 少女、ライカの表情はあまり優れていない。

 半分に斬られたオブジェを見つめ、言う。

「最終確認だが……」

 それを、黒希は遮る。

「気は変わらない。行く」

 ライカは深くため息を吐いた。

 それに、黒希はライカを見下ろして、

「……まだ、力が足りないってのか?」

「お前の力は、今ので限界値だ。これ以上育つことはない。だが……」

 言い淀むライカ。

「だが、何だよ」

「……この方法は奥の手だ。お前だって嫌がる」

「まさか、技名を大声で言わなきゃ発動しない必殺技とかじゃないよな?」

「違う」

 ライカの否定に、黒希は安堵したように息を吐いた。

 免れぬ死より恐ろしい一生残るような黒歴史を刻まずに済んだのだ。これが安心せずにいられるか。

「ライカ、力貸せよ」

「分かってる」

 黒希は右手に握った大鎌を振り上げ、振り下ろした。

 空間を裂く。紙を破ったように、黒希の目の前に全く別の景色が現れる。

『亀裂』、別世界へ行くための『扉』の向こうへ、黒希は足を踏み入れた。









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