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色とりどりの黙示録  作者: owen
序章
26/97

0.8

 

「……」

 ゆっくりと目を開き、何回か瞬きをした。

 瞳から涙が溢れ出した。

「あれ?」

 上半身を起こし、それを腕で拭う。拭っても拭っても、涙は止まってくれない。

 何故か、悲しかった。胸が苦しくなる。

 ベッドから抜け出し、自室を出た。足早に、隣の彼の部屋に入り、ベッドに潜り込む。

「ん……おい」

 華凪に気付き、黒希は目覚めた。

「ごめん、ね……」

「……どうした」

 華凪が泣いているのに気付き、訊いてみる。

 華凪は彼の背に体を摺り寄せ、

「変な夢見ちゃって……それで、悲しくなっちゃった」

 彼女の声は、震えていた。泣いているのだから、当たり前だろうが。

「ねぇ、こっち、見て」

 と、華凪が言ってくる。

 この際だ、仕方ないか。

 黒希は仕方なく、寝返りをうった。

 暗闇でよく見えなかったが、華凪の顔が目の前にあるのが分かる。啜り泣く声が間近から聞こえる。

 こういうのは、初めてだった。彼女が夢を見て泣くなど、初めてだ。

「抱き締めて」

「……断る」

「じゃあ、抱き着くから、抵抗しないで」

「……」

 華凪の腕が首に回される。胸に顔が押し付けられる。

 この女、どうやらティーシャツを涙を拭くためのテッシュかタオルだと思っているらしい。

 華凪は黒希の胸に顔を埋めたまま、

「私が寝付くまで、ずっとこのままでいて」

 黒希はしばらく黙った挙句、

「……好きにしろ」

 渋々承諾した。


 八月六日の午前二時の事だった。







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