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色とりどりの黙示録  作者: owen
序章
20/97

15

 

 栄一と合流し、地上に戻った。

 海留は調べたいことがあると言って、地下の施設に留まっている。

「今回の件だが、どうやら嵌められたらしい」

 運転席に座る栄一が、タブレットを見て言った。

「ついさっき、NSAのサーバーに何者かの侵入が確認された。偽の情報を流して、まんまと誘き寄せられたわけだ。すまない。不注意だった」

「そう思うなら給料増やせ。休みを増やせ」

 と、後部座席で不貞寝する黒希が言う。両手には包帯が巻かれている。

「給料はともかく、休みは十分過ぎるほど与えられていると思うが」

「ニートには足りない」

 そう言った黒希の表情は、至って真顔。

「……たまに、お前のリーダーとしての素質を疑う時があるよ」

 ため息混じりに栄一が言った。

 それに、中部座席に座る叶がムッとした表情で、

「おい栄一」

「……悪かった。謝るよ。ところで黒希、実はお前に話が……」

 栄一の言葉の途中で、

「断る」

「……まだ何も言ってないが」

「もう一つ仕事、だろ。断る。そんな気分じゃないし、疲れた」

 黒希の力は、文字通り人並み外れている。

 その内である超人的な身体能力は、一分行使し続けるだけで体力スタミナが尽きてしまう。まぁ、単に黒希自身の体力スタミナの限界値が低いだけなのだが。

「気分じゃないって……人が死ぬかもしれないんだぞ。それでも構わないのか?」

 情に訴えかける言葉。

 黒希はイラついたように目元を僅かに動かし、そして言った。

「人はみんな死ぬもんだ。一々気にしてちゃ生きていけねぇよ」

 そこで叶が、

「代わりに私が受けるよ」

「だが……」

「何? 私じゃ不満だっての?」

「……分かった。海留は必ず同行させる。今回は彼のスキルが不可欠だ」

 栄一の言葉で、黒希と叶はどんな仕事かを看破した。

「もしかして、『アウトサイダー』絡み?」

 叶が訊くと、栄一は頷いた。

「手掛かりを掴めたそうだ。ここ、マイアミに奴がいる」

「偶然にしては、出来過ぎてるな」

 叶は顎に手を当て、考え始めた。

『アウトサイダー』とは、とあるハッカーの名だ。『シーカー』の仕事の邪魔ばかりしてくる、非常に迷惑な奴だ。度々、海留が対処するようだが、今まで尻尾を掴めずにいた。

 性別、年齢すら判らない状況なので、僅かな手掛かりでも重要になる。例え罠でも、そこに向かうしかなくなる。

「黒希はどうするんだ」

 栄一が問うと、

「帰る。ジェット機用意してくれ」

「……分かった」

 それから数分して、海留が戻ってきた。

 こうして、一つの仕事が、後味の悪い終わり方をした。

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