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色とりどりの黙示録  作者: owen
序章
14/97

10

 

 電流体に向け、海留は発砲した。

「下がれ海留‼︎」

 黒希は叫び、電流体を撃ち続けながら、出入り口のドアの方へ向かった。

 海留に続き部屋を出ると、

「何なんですかアレ。銀の弾が通用しないなんて」

「悪魔の類じゃないってことだ」

 栄一の元に駆け戻ると、

「さっきの音は何だ?」

「変なのが出てきやがった」

 と、黒希が答えると、栄一は拳銃を構えた。

 部屋から電流体が出てくる。歩みは遅い。

「言っとくけど、銀は通用しない」

「じゃあどうする?」

 そこで叶が、

「私が……」

 名乗り出ようとしたが、黒希は遮った。

「いや、ああいうのは俺の領分だ。お前らは上に戻ってろ」

「でも……」

 叶は何か言いかけたが、すぐに口を噤み頷いた。

「さっさと行け」

 言って、黒希は電流体の方を振り返った。

「行きましょう」

 海留を最後尾に、一同は黒希をその場に残して走り出した。

 元来た道を戻る。一直線なので迷いようがない。

 ないはずだ。

「……ん?」

 栄一が足を止めた。

 それにつられて、叶、海留も足を止める。

「急に止まるなよ栄一」

 叶が言うが、栄一は前の一点見つめたままピクリとも動かなかった。

「叶さん、気付いてないんですか?」

 それに、叶は海留の方を振り返った。

「何に」

 海留は小さく息を吐き、そして、

「階段が消えています」

 叶はキョトンとして、前を振り返った。

「階段から下りて七十三歩で、あの広い空間に出ました。ですが、もう七十五歩も歩いてます」

「いちいち数えてんの?」

「頭の中に歩数計があるんで」

 冗談めかしに答えると、海留はどうすべきかの話に変えた。

「戻るわけにもいきませんし、進むしかないでしょうね。他に出口は?」

 栄一はタブレットで施設の見取り図を見て、

「……ないな。他に出口を……?」

 栄一が顔を上げた時、周りに人はいなかった。

 海留と叶の姿が、音も無く消えてしまっていた。


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