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2-1

「きゃー!! 助けてー!!」


「ハハハハハ! 待ってて来蘭ちゃん。助けるから」


 来蘭ちゃんが、野郎数人に捕らわれた。

 理由なんか「可愛いかった」の一言で済む程度だろ。

 昨日のマンション立て籠りが低レベルだったからか、あたしのイライラは振り切っていた。


「比良ちゃーん!!」


涙を浮かべて青ざめている来蘭ちゃんを助けるという口実が出来て幸運ラッキーだ。心置きなく相手をボコれるってもんよ!


「相手は女一人。怯むなぁ!」


 バットが二、角材が一とメリケンが二か。

 飛び系はねえ。ずっとあたしのターンだ!


「あたしを敵にしたことを存分に悔いなああ!」


 両手に木刀を構え、小細工なしの真っ向勝負。

 問答無用でぶっ殺す! 来蘭ちゃんを泣かせた報いだ!


「逆転ホームラ……」


「ウッセ!」


 振りかぶられたバットを木刀で叩いたら、バットが形を変えた。野郎は唖然としていたが知るか。もう一人のバット野郎はビビって立ち止まりやがった。仕方がないから、バットを凹ませてやったぜ。


「イイ気になってんな!」


「てめえがなっ!」


 デブがメリケンを着けていても所詮デブ。

 動きはトロいし、熱気もウザい。おまけに攻撃は大振りで、殴ってくれと言わんばかりだ。仰せのままに、木刀で撲ってやった。


「後ろがガラ空きだ!」


「っ!?」


 痛ってー! 後ろから女子高生を殴るとは。それは男としてどうなんだ、ああ? 大体、痛みだけで覇気がねえじゃん。それじゃメリケンが泣いちまうよ。


「立った!?」


 野郎が驚いた顔であたしを見ている。そんなにあたしが立ったら可笑しいか? まさか、てめえ自信があったのか? 笑わせんな。ガキが石ころ投げてくるほうが痛いっての。ガキは加減ができねえから。


「あたし、アルプスとは無縁でね」


「ひっぃぃ!?」


 野郎が背を向けて逃げていく。馬鹿なのか?

 敵に背を向けたら最後、殺してくれと言ってるもんだ。いいだろう……殺してやる! ガリガッリ。

 槍投げの要領で木刀を投げると、面白いように飛んでいく。


「ぐはっ……」


 ストライク! あたしのコントロールの良さに自画自賛しちまうね。ふふふ。


「このアマぁ!」


 角材が頭上から降ってきた。避けれたから避けたけど。さーて、どう料理してやろうか……。


「何者なんだ! 普通じゃない! 楽勝だと思ったのによ!」


 角材を形振り構わずとはね……。悪足掻きかっての。


「あ~あ。終わらせていい?」


「ナメんな! シメてやる!」


「よっと……。振って駄目なら突きってか。馬鹿の一つ覚えかよ。つまんねえ闘いをしてんじゃねえ! 付き合う身にもなりやがれ!」


「ば、化物が!!」


 華の女子高生を化物呼ばわりとは、いい度胸してんじゃねえか。だが、やっぱ殺す。


「灯刀・早姫乱れ流……」


 突き出された角材を足掛かりに飛び上がって狙いを定める。悪いが加減はできねえぞおお!!


「気消閃!」


「……」


 気持ちいいくらいに後首に決まった。息はあるから、そのうち覚めるだろう。


「比良ちゃーん!」


 むぎゅっと柔らかい胸を押し当てながら抱き付いてくる来蘭ちゃんは天使そのものだ。あたしにはできない芸当だけどね。


「怪我なくて良かったよ。来蘭ちゃんファンクラブの奴等が今回の事を知ったら、コイツら終わりだね」


「関わりたくないよ。見たくもないし、寄りたくもない。男性は遠慮だもん」


「それじゃ帰ろう。散々な休みになっちまったけどね」


「……比良ちゃん、わたしの家に来て」


「どうしたの」


「明日も休みだから。泊まってってよ」


 上目遣いで誘ってくる来蘭ちゃん。こういう表情を見ることのできない世の男性はキツいねえ。

 ホント、百合っ子にしとくのには勿体ない。

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