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あたしと緋は、お祖父と別れて拘置所に来ていた。
シロヤマと会うためにだ。あっさり面会に応じてくれたのには驚いた。まあ、会ってみたら尚更驚いたがねえ。
「……まさか、お前がシロヤマだったとはね。運命のイタズラってやつかい」
ワッパを掛けられているのに物怖じをしない目。
座るように促されて素直に従う物腰。
放火にチェーンソーとは結び付かない風貌。
あたしを見つめる瞳はギラギラとしている。
「何しに来たんだ! わざわざからかいに来たのか!」
「落ち着けっての。わざわざそんな理由で来てたまるかってんだ。今、シャバで騒ぎが起きていてね……連続貴族襲撃事件ってとこだ。〈平衡〉も〈天道〉も〈遠流路〉も狙われた。結果、〈天道〉の人間は捕まり、〈遠流路〉の人間に至っては殺された。そんで、次に狙われているのが〈城山〉って訳だ。まあ、お前とは思いもしなかったが、まだ両親は健在なんだろう? 狙われる可能性は高い」
「だから? ……もうどうでもいい。外の世界の事など知ったことか」
「マジで言ってんのか?」
「ああ。更正なんかしてやるか! 己を押し殺してまで生きたいとは思わない! ……ははは!」
別にあたしは説得する気などなかった。彼女なりの筋の通しかたなんだろうから。
「比良、行こう。時間だ」
緋が腕時計を指差す。あたしはそそくさとその場を後にした。彼女の笑い声が、泣き声へと変わっていくのを聞きながら。
※ ※ ※
「城山の家に行こう。どちらにせよ、必ず〈自由軍〉はやって来る筈だぜ」
「ああ。これ以上、好き勝手されてたまるかっての」
あたしと緋は、タクシーに乗り込むと、城山家へと向かった。




