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あたしと緋は、お祖父の家へと着いた。だけど肝心のお祖父が見当たらない。家は鍵が掛かっているから入れない。あたしが壊したプレハブの壁はそのままの状態だった。何故直さないんだ。
「へー。流石は貴族の家だ。見た目は立派だぜ」
「家だけ立派でもねえ。まったく、肝心の家主は何処に行ってんだか」
電話を描けても繋がらない。お祖父のことだから、〈自由軍〉に取っ捕まったなんてことはないだろうけど。
「ん? ……比良、何か焦げ臭くないか?」
「焦げ臭い?」
そう言われ鼻を利かす。確かに焦げ臭い。しかも近いね……近い!?
「比良。もしかして、この家からじゃないか」
「ちっ……、もしかしなくてもだろうよ」
あたしは玄関を蹴破った。セキュリティでも働くかと思ったが、そもそも防犯なんかしてなかったんだった。構わず、家の隅々を探っていく。しかしながらお祖父は見つからない。くっそ!
「比良! 火元はこれのようだ」
緋に言われてキッチンに駆け込む。鍋に並々と注がれた油が燃え盛っていた。壁や柱も焦げている。
「これで消すっての」
部屋に有った鉢植えの土を鍋に放り込んだ。あっさりと火は消えてくれたからよかった。
「どういうつもりか知らんが、こんなことをするような奴にお祖父が負けるとは思えねえが」
「トイレ、とか」
緋の発言を聞いた瞬間、あたしはトイレに向かった。鍵は掛かっていたが構わずこじ開けた。
「お祖父!」
両手を後ろに組まされ縄で縛られていたが、特に外傷は見られなかった。気を失っていたが大丈夫なようだねえ。
「お祖父! お祖父!」
「……比良……か?」
あたしの呼び掛けに応えるように意識を戻した。その身体は伊達じゃないねぇ。
「何があった!? お祖父がこんな状態になるような相手だったのか?」
「……流石にあんな武装をされては、下手に手出しはできんよ。ただ、無駄に負けるのは性に合わん。情報を少し聞きだしてやった」
「流石お祖父だ!」
「聞かせてくれ。平衡さん」
「ああ。……奴等は、自分達を〈自由軍〉と呼んでいた。その見た目は軍隊そのものだ。〈自由軍〉の目的は貴族の抹殺らしい。理由までは聞き出せんかったが」
「〈自由軍〉の次の標的とか、行き先とか分かるか?」
緋がズバズバと訊いてる。どんな状況でも混乱せず、冷静でいる。彼がどんな事を経験したかは知らないが、並みの人間じゃなさそうだ。
「言っていた……次の狙いは……シロヤマだとな」
シロヤマ? ……知らないねぇ。キイラに訊いてみるか。




