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9-4

「ワタシ達は待っているのが賢明よ。事実、これといって出来ることは少ないのだもの」


 キイラが、書類を見ながら、あたし達に話し掛ける。そんなこと言ったって聞かないのは承知だろうに。


「キイラは、サイバー犯罪課の支援だろ。オレ達よりも出来ることがあるじゃないか」


「それだけでしょ? 実際に〈自由軍〉の連中と接触するのは警察だもの。分かって?」


「え……? オレ達、付いてっちゃ駄目か!?」


「当たり前でしょ! 民間人を事件現場に居合わせてどうするの。緋達はあくまでもワタシの協力者なんだから」


「……ちぇ。そんな心配無用なのによ」


 この緋という男。あたしの気のせいじゃなければ、〈自由軍〉と戦いたがってるのか? 進んで首を突っ込んでいくタイプなのかも。


「と・に・か・く! ワタシが指示をするまでは待機していてよ」


「たくっ。相変わらずキッツいぜ」


 緋とキイラの会話は、まるで痴話喧嘩のようだ。もしかして付き合ってんのかねぇ。

 あたし達を残してキイラは行ってしまった。


「なあ、お前とキイラって……」


「うん? オレとキイラ? ……友達だぜ」


「いや。あたし、まだそこまで訊いてない」


「あ……。よく言われるからな。キイラはキイラで相手が居るんだぜ? 本人は否定してるけど」


「お前はいるのかい?」


「おう。素直じゃないんだが、あれはあれで可愛げがあるんだぜ。……何で?」


「いや……あんまり深い意味はないっての」


 ただそういう感じに見えたから訊いただけなんだがねえ。まさか突っ込まれるとは思わなかった。


「っうし! じゃあ、オレオレで動くぜ! ジッとしてるのは性に合わない」


 緋は、グイッと伸びをすると歩き出した。


「なんか心当たりでもあるのか」


「いんや。ただ、オレの山勘なんだけどよ、〈自由軍〉の狙いは「貴族」なんじゃないか。だったら、この辺りの「貴族」の所に行くのはどうかと思ってよ」


 成る程ねえ。灯可里が連れ去られたことも考慮すりゃ、その勘、いい線いってるかもねぇ。


「それじゃあ……平衡家うちに行くか」


「はい?」


 あたしの言葉に、緋は首を傾げた。

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