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9-1

「これはチョイとばかしマズかねえ?」


 灯可里からの封筒の中身は、手紙だった。

 そんなことは予想の範囲内だ。問題なのは、その手紙の内容だった。


『比良さん。先日の遠流路家の事件の事ですが、犯人の目星がつきました。懐流くんの両親と付き人の運転手を射殺し、車を炎上させた犯人は、〈自由軍〉というテロリスト集団です』


 まさかのテロリスト。ヤンキー、チンピラ、ヤクザよりも遥かにヤバい存在。自分達を信じて疑わないその姿勢は、誰の言葉にも耳を傾けない分、厄介だ。


『現在、警察は勿論、国も存在を認知し危惧していますが、〈自由軍〉の体制上、確保はおろか遭遇も難しいのが現状です』


 成る程ねえ……そいつは厄介だ。その姿を見ることが出来れば、どれだけ可能性が広がることか。


『〈自由軍〉は組織としての体を成していません。目的を共有しますが、手段や判断は個人の独断で行っております。まさに、現代社会が生み出した集団です』


 叩き潰すにしても、会えなければ話にならない。

 頭脳戦か? だとしたら、あたしが苦手な相手になるけどねえ。サツもお国もお手上げの集団を相手にどうやって立ち向かおうか。


「しゃーない。寝るか」


 さっきまで気を失って寝ていたものの、夕飯を済まし、風呂に入ったら一気に眠気に襲われていた。

 こんな状態で頭を働かせても意味はないだろう。


「……〈自由軍〉……か。自由を得たいのか……自由を作りたいのか……」


 そのままあたしは眠りに就いた。命を奪ってまでの自由に意味なんてあんのかねえ。


※ ※ ※


 翌朝。


「比良姉、大変じゃい!」


「うわー! ……ん?」


 朝から懐流が騒がしい。わざわざあたしを起こしに来た。


「観るんじゃ!」


 懐流に言われるがままにテレビを観る。そして寝ぼけていた頭が一気に覚めた。


【天道灯可里さん(十七)、〈自由軍〉に捕らわれか】


「……灯可里が……拉致られただと!?」


 あたしは灯可里のケータイに連絡をするが応答はない。どうやら本当に拉致られたみたいだ。


「比良姉。これからどうするんじゃい?」


「灯可里が捕まったとあっちゃ、天道家が黙っちゃないだろう。勿論、天道家と繋がりがあるサツもだ」


「それで?」


「あたしも黙っちゃいないっての。あたしも救出に協力する。……強引にでもね」

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