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「これはチョイとばかしマズかねえ?」
灯可里からの封筒の中身は、手紙だった。
そんなことは予想の範囲内だ。問題なのは、その手紙の内容だった。
『比良さん。先日の遠流路家の事件の事ですが、犯人の目星がつきました。懐流くんの両親と付き人の運転手を射殺し、車を炎上させた犯人は、〈自由軍〉というテロリスト集団です』
まさかのテロリスト。ヤンキー、チンピラ、ヤクザよりも遥かにヤバい存在。自分達を信じて疑わないその姿勢は、誰の言葉にも耳を傾けない分、厄介だ。
『現在、警察は勿論、国も存在を認知し危惧していますが、〈自由軍〉の体制上、確保はおろか遭遇も難しいのが現状です』
成る程ねえ……そいつは厄介だ。その姿を見ることが出来れば、どれだけ可能性が広がることか。
『〈自由軍〉は組織としての体を成していません。目的を共有しますが、手段や判断は個人の独断で行っております。まさに、現代社会が生み出した集団です』
叩き潰すにしても、会えなければ話にならない。
頭脳戦か? だとしたら、あたしが苦手な相手になるけどねえ。サツもお国もお手上げの集団を相手にどうやって立ち向かおうか。
「しゃーない。寝るか」
さっきまで気を失って寝ていたものの、夕飯を済まし、風呂に入ったら一気に眠気に襲われていた。
こんな状態で頭を働かせても意味はないだろう。
「……〈自由軍〉……か。自由を得たいのか……自由を作りたいのか……」
そのままあたしは眠りに就いた。命を奪ってまでの自由に意味なんてあんのかねえ。
※ ※ ※
翌朝。
「比良姉、大変じゃい!」
「うわー! ……ん?」
朝から懐流が騒がしい。わざわざあたしを起こしに来た。
「観るんじゃ!」
懐流に言われるがままにテレビを観る。そして寝ぼけていた頭が一気に覚めた。
【天道灯可里さん(十七)、〈自由軍〉に捕らわれか】
「……灯可里が……拉致られただと!?」
あたしは灯可里のケータイに連絡をするが応答はない。どうやら本当に拉致られたみたいだ。
「比良姉。これからどうするんじゃい?」
「灯可里が捕まったとあっちゃ、天道家が黙っちゃないだろう。勿論、天道家と繋がりがあるサツもだ」
「それで?」
「あたしも黙っちゃいないっての。あたしも救出に協力する。……強引にでもね」




