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8-3

 図書館の帰り道。灯可里の好意で家まで送ってもらうことになった。そんで今は好意ついでに懐流をお迎えって訳だ。


「比良姉! 灯可里さんまで!」


 あたし達が迎えに来たのが嬉しいのか、懐流は目を輝かせている。


「お? 隣の女の子は誰だい」


 懐流の隣に、なんとも可愛らしい女の子が居るじゃないか。やれやれ懐流。七歳で彼女かい?


「はじめまして。懐ちゃんと同じクラスの加藤 美井です。よろしくです」


「おお! 初めましてだ。あたしは平衡比良。懐流の姉だよ」


「お姉ちゃんなの!? いーなー、みいちゃんには居ないんだぁ」


「美井ちゃんのお姉ちゃん代わりにはなってあげれるよ。いつでも遊びに来な!」


「やったー!」


 これはこれで可愛いじゃねえかコンニャロー。

 来蘭ちゃんが一緒に居たら、きっと連れ去られてたっての。


「灯可里。美井ちゃんも乗せていい? ついでついでに送っていきたいんだがよ」


「構いませんよ。私も独りっ子ですから、美井ちゃんと御話したいです」


 流石は灯可里。太っ腹! そんなわけで車に乗り込み、美井ちゃん家へと向かっていく。窓を覗けば、色とりどりのランドセルを背負っている小学生が歩いている。そうだよねえ……あたしにもあんな時があったんだよ……。なんだか遥か昔の事に思えるよ。


「比良さん。この石は比良さんが持っていてください。比良さんが持っているほうが、この石の価値がありますので」


「そうかい。なんだか悪い気がするけど、無下に断るのも悪いしねえ」


 灯可里から秘宝の石を受け取った。身体の底から力が湧き出る……気がする。そんなことを思っているうちに美井ちゃんの家に着いた。


「バイバイ、懐ちゃん。また明日ね!」


「うん。また明日なのじゃ!」


 どこか名残惜しそうに美井ちゃんは帰っていく。

 ほう~、こりゃあ脈ありだねぇ懐流。


「では行きましょう。御二人共」


 再び、車は走り出す。車に乗っていると、どういうわけか眠くなる。完全にあたしは安心しちゃってるってこったねえ。しかしながらいつまでも乗っていられるわけもなく、あたし達の家に着くのだった。


「さーて。我が家の布団で一眠り……ん?」


 家の前で堂堂としている、金髪巻き髪の女性。

 あたしの知り合いにいないぞ? 誰なんだ?


「待っていたわよ、懐流。随分と平衡の人間と親しくなってるみたいね。……あら、私ってば忘れていたわ……もう貴方は遠流路の人間じゃなかったわね、懐流。何がよくて鞍替えしたのか、理解に苦しむけれど」


「姉上……何の用じゃい」


「決まっているじゃない。例の石を取り戻しに来たのよ。この私、遠流路 綺姫ジュリエが直々に。懐流、今なら許してあげますわ。石と共に戻ってきなさいな」


「嫌なのじゃ! もう僕は、遠流路懐流じゃなくて、平衡懐流なのじゃ! 僕が望んで選んだことじゃい」


「そう……致し方ないわ。懐流の事は構わないけれど、秘宝の方は、そうはいきませんわ!」


 綺姫ジュリエが、持っていた扇子を広げるや、黒いスーツの男達が湧いて出てきた。気持ち悪いっての! そうまでして、この石が欲しいかい。


「比良さん。懐流くんを連れて中へ! この方々は私が対処致します」


「悪いねぇ! 頼むよ」


 今は、懐流の身の安全が優先だ。灯可里のことだから、護身術で乗り切るつもりだろうが、流石に無理がある。あたしも加勢に向かうっての。


「すまんのじゃ、比良姉。姉上が騒ぎを」


「気にするんじゃねえよ。あたしなら大丈夫だって。久しぶりに大暴れしてやるっての!」


「頼むのじゃ。姉上を止めて!」


 懐流があたしに木刀を渡してきた。懐流の為にも、秘宝の石の為にも絶対に負けられない。

 あたしは、戦場へと飛び込んだ。

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