表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/48

7-3

「悪いね灯可里。急に呼び出して」


「構いません。懐流くんの一大事ですし、秘宝の事も知られているのならほっとけないですから」


 懐流を乗せた遠流路の車を走って追い掛けていたが、車に走って追い付こうとしたのは無謀だったようだ。灯可里に連絡したら、タクシーの如くやって来てくれたんでラッキーだったよ。


「灯可里御嬢様。この先で宜しいですか?」


「はい。この先が遠流路邸です」


 あたしは思わずシートベルトを握り締めた。懐流のことがそれだけ心配だった。一緒に住んだからか、いつの間にか愛着が湧いていたんだねぇ。


「比良さんはお優しいです。他人のために必死になれることは、とても素敵なことです」


「なんだかねぇ……懐流のことを勝手に弟のように思っていたんだよ。あたしが独りっ子なのも相まってなんだけど」


「弟ですか。そう言われれば納得します。懐流くんも比良さんになついていますし」


「懐流が?」


「分かります。甘えることに不慣れなぶん、比良さんに懸命に付いていこうとしてるんですよ」


「……気付かなかったねぇ……。近すぎてってやつかねえ」


「灯可里御嬢様! あの車は!?」


「あの車……遠流路のものですわ」


「おいおい……たまったもんじゃねえっての!」


 確かにあれは遠流路の車だ。だけど……何でだ!?

 何で……何で……燃えてるんだ!?


「爺! 各救急へ連絡を」


 シートベルトを外して車を降りた。無我夢中で車に駆け寄る。が、炎に包まれているために車内は伺えない。懐流は……懐流は!


「比良……姉?」


 車から離れた場所から、聞き慣れた、それでいてか弱い声が聞こえた。膝から崩れ落ち放心状態の懐流。

 あたしは、正直ほっとした。懐流が無事だったからだ。だけど、懐流にとっては悪夢の中の再会なのだろう。


「懐流!」


 あたしらしくもない。柄じゃない。それでも身体は勝手に動いていた。あたしは懐流を抱き締めていた。


「比良姉、苦しいんじゃい」


「五月蝿いっての。まったく……心配させんじゃねえ」


「比良さん。懐流くんのケアを」


 あたしは、コンビニに入ってジュースを買うと懐流に手渡した。あたしにできる事なんてこんなもんだ。


「比良姉。僕は、どうしたら」


「落ち着いていればいい。慌ててもどうにもならない。あたしが一緒にいてやるから」


 懐流に言い聞かせながら、あたし自身にも言い聞かせた。こんなときぐらい年上がしっかりしないといけない。そう強く言い聞かせた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ