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「悪いね灯可里。急に呼び出して」
「構いません。懐流くんの一大事ですし、秘宝の事も知られているのならほっとけないですから」
懐流を乗せた遠流路の車を走って追い掛けていたが、車に走って追い付こうとしたのは無謀だったようだ。灯可里に連絡したら、タクシーの如くやって来てくれたんでラッキーだったよ。
「灯可里御嬢様。この先で宜しいですか?」
「はい。この先が遠流路邸です」
あたしは思わずシートベルトを握り締めた。懐流のことがそれだけ心配だった。一緒に住んだからか、いつの間にか愛着が湧いていたんだねぇ。
「比良さんはお優しいです。他人のために必死になれることは、とても素敵なことです」
「なんだかねぇ……懐流のことを勝手に弟のように思っていたんだよ。あたしが独りっ子なのも相まってなんだけど」
「弟ですか。そう言われれば納得します。懐流くんも比良さんになついていますし」
「懐流が?」
「分かります。甘えることに不慣れなぶん、比良さんに懸命に付いていこうとしてるんですよ」
「……気付かなかったねぇ……。近すぎてってやつかねえ」
「灯可里御嬢様! あの車は!?」
「あの車……遠流路のものですわ」
「おいおい……たまったもんじゃねえっての!」
確かにあれは遠流路の車だ。だけど……何でだ!?
何で……何で……燃えてるんだ!?
「爺! 各救急へ連絡を」
シートベルトを外して車を降りた。無我夢中で車に駆け寄る。が、炎に包まれているために車内は伺えない。懐流は……懐流は!
「比良……姉?」
車から離れた場所から、聞き慣れた、それでいてか弱い声が聞こえた。膝から崩れ落ち放心状態の懐流。
あたしは、正直ほっとした。懐流が無事だったからだ。だけど、懐流にとっては悪夢の中の再会なのだろう。
「懐流!」
あたしらしくもない。柄じゃない。それでも身体は勝手に動いていた。あたしは懐流を抱き締めていた。
「比良姉、苦しいんじゃい」
「五月蝿いっての。まったく……心配させんじゃねえ」
「比良さん。懐流くんのケアを」
あたしは、コンビニに入ってジュースを買うと懐流に手渡した。あたしにできる事なんてこんなもんだ。
「比良姉。僕は、どうしたら」
「落ち着いていればいい。慌ててもどうにもならない。あたしが一緒にいてやるから」
懐流に言い聞かせながら、あたし自身にも言い聞かせた。こんなときぐらい年上がしっかりしないといけない。そう強く言い聞かせた。




