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あたしは大きな思い込みをしていたようだ。
てっきり、秘宝なんて言うもんだから、凄く古い骨董品とか古代の金だと思っていた。
「こんな感じの~感じを~……」
キイラという女性はカタカタと何かを打っている。
暗証番号を入力するようなリモコンと格闘している。
「もうちょっとだわ」
「私は、こういう機械の類いが苦手なんで、キイラさんがいてくれて助かります」
「気にしないで。警察とパイプがある天道家の頼みだもの。警察に協力しているホワイトハッカーのワタシに出来ることがあるのなら協力するわよ」
「ホワイトハッカー!? 通りでコンピューターに強いわけだ。何やってるか解らんけど」
「平衡比良だっけ? 貴女、貴族の出なのに気品も何も感じないわね。そんなものなの?」
「あたしは庶民と変わんないよ。貴族の出だったなんて最近知ったくらいだよ」
「そう……。なんだか不思議だわ。貴女とは初めて会った気がしないわね」
「……どっかで会った?」
「違うわよ。似ているのよ。知り合いに」
「キイラさんも思います? 私も初めて比良さんとお会いしたときに感じたんです」
「やっぱり! 似てるわよね、彼に」
まただ。あたしと似ているという男の話。そんなに似ているのなら、やっぱ会ってみたいもんだ。
「灯可里ちゃん、終わったわよ。まったく、面倒なロックを掛けてくれたもんね。ワタシに掛かれば、何てことなかったわ」
「随分と近代的なセキュリティなもんで。そんなんじゃ、大したもんは入ってないねぇ」
「天道家の秘宝ですから、きっと何かが……」
灯可里が箱を開けた。白い煙が出てくるわけではなく、何かが飛び出してくるわけでもない。箱が開いた感想はそんな感じだ。
「これが……秘宝?」
「ん? それが秘宝か。なんだかぱっとしないねぇ」
見れば見るほど只の石。あたしの素直な感想だ。
これが天道家の秘宝というのなら、とんだ肩透かしもいいとこだ。
「取り敢えず持って帰ります。きっと秘宝に何かが隠されているのでしょう」
「ジャアアア」
何だ? 騒がしいっての。
「ジャアアア」
あたしと獣が対峙した。無人島だけど、無獣島じゃない。居ても不思議じゃないか。




