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「勝手に凄いことを決めてしまって……仕方ないの」
「そーそー。これは人助け」
意外や意外。お祖父がアッサリしていたよ。
まあ、あたしは退く気ないけど。
「天道のほうも協力致します。遠流路家の問題ではありますが、同じ貴族としても見過ごせません」
「すみませんな。比良の独断で決めた帰宅あげく、巻き込んでしまいましての」
「いいえ。遠流路家の対応次第で、貴族のこれからの遠流路に対する向き合いかたが変わるでしょう」
「微力ながら、この平衡も尽力致します」
灯可里とお祖父を味方に付けりゃあ百人力だぜい。
食うもん食ったし、ズラからせてもらうかな。
「懐琉、行くか」
「め、迷惑ではないのか?」
「言ったろ、気にすんなって」
「……済まぬのじゃ」
相変わらず、あたしのドレスを握って離さないガキだこと。安心しな、置いてはいかんよ。
「んじゃ、あとは頼むわ」
「懐琉くんを御願いしますね」
「へーい」
灯可里に見送られながらホテルを後にする。あたしには不釣り合いな空間だったが、料理は文句なしに旨かったねぇ。弁当にでもしてくれないもんか。
しかし、懐琉と並んで歩いていると、あたしはどう見られてるんだろう? 姉、親戚、親切な人……誘拐犯かね? ま、ある意味そうか。本人同意だけど。
「平衡、さん。えーと」
「比良でいいよ。んで?」
「父上も母上も、僕を迎えに来てくれるじゃろうか」
「なーに。表向きは、遠流路の名誉とかだろうが、来るだろうよ。心配すんな」
「世話になるのじゃ。……比良姉」
比良姉……。悪くない響きだね。うんうん。
人を持ち上げるのが上手いこと上手いこと。社会にとってヨイショは欠かせないからねぇ。
……ウーーン! やっぱシャバは気持ちいい!
ホテルに居続けたら窒息してたっての。身体を伸ばせるってだけでも充分な価値だ。
「平衡比良か?」
「誰だい」
全身真っ黒。そんでもって女性の声。十分に怪しいうえに、どういう訳かあたしを知っている感じだ。
まさか平衡の人間か……まさかね。お祖父から連絡を受けているのなら、遅れたりはしない筈だ。遅れたりしたらお祖父が黙っちゃいない。
「そのうち分かる」
ありゃりゃ? 行っちまいやがったよ。一体何だったんだ? ま、殺気は感じなかったからいっか。
「比良姉、知ってるんか?」
「さあ? 恨みを買う覚えばかりなもんで」
懐琉を連れて大立ち回りはちと厳しい。流石のあたしもホッとしたっての。さーて帰るか。家に着くまでが貴族ってね。




