閑話 現代の変態は異世界で純愛の夢を見る
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日番谷ここねは百年に一人の変態である。
0歳にして異性に興味を持ち三歳で小学生までの保健体育を理解し五歳で高校までの保険体育を独学で習得、十歳で複数の異性・同性との交際が発覚し十三歳で複数の少年への性的イタズラにかかわったとしてインターポールに追われるという異例中の異例を成し遂げてきた。
ここねは世界に絶望していた。今まで生きがいとしていた天才の少年を異世界に取られてから生きる意味を無くしてしまったのかもしれない。彼女を夢中にさせた少年はこの世界に存在しなかった。
「祐くん私もう限界だよ……突っ込んでくれる相手もいない、下ネタにドン引きする顔も見れない……戦争ばかりしたがるオッサンが祐くん出せってうるさいし……研究機関の若造は変な刺客送り込んでくるし……世界中で祐くん出せって抗議デモがおこるし……色々疲れたよ……」
唯一ここねのよりどころは祐が置いて行った肉体だけだった。最初の一週間は日がな一日眺めているだけで満足していたここねだが、しだいにストレスがたまり顔を触ったり……匂いを嗅いだり……服を脱がせたり……味見したり……などやりたい放題してきたが祐の体に女装させたあたりで満足したのか晴れやかな笑顔でコールドスリープ装置に保管することを決断する。当然女装したままだが……
彼女は気が付いてしまった。この数年百年に一人の天才と言われた少年の監視役として助手をしてこれたのは、個人的興味から彼と接しイタズラしてみたいな♪と思うだけではなかったのだと……彼を思うこの気持ちが本物の愛になっていたことに今更気づいてしまった。
「離れてみて初めて自分の気持ちに気が付くとはね……私もまだまだ修行が足らないってことね・・私を本気にさせて異世界に行った程度で逃げられると思ってるのかな? 祐くん♡ 私もすぐに追いかけるからね♡」
昼間のドロドロしたドラマに出てくるストーカーのようなセリフを口にしながら完全に恋する乙女(変態)モードに火がついた――ここねは一か月ほど前に祐が使用したワームホール起動装置の解析にとりかかっていた。日番谷ここね――その性格と言動から誤解されることが多いが十七歳にして世界最先端の物理学・化学・工学・理工学など複数の分野で博士号を取得する天才であり変態という欠点を除けば五十年に一人クラスの逸材であった。
十八歳の時インターポールに捕縛された――ここねは、その優秀な頭脳を買われ司法取引により国連の研究所で監視下に置かれることとなる。当然犯罪を犯した彼女にはペナルティが課せられ才能を生かし世界に貢献し続けることを条件に自由を得ていた。そんな過酷な状況でも鼻歌混じりにスバ抜けた成果を上げてきた彼女の能力をさらに伸ばそうとする国連要人達の浅知恵で世界の至宝である祐の助手に選ばれる。
そうでなければ百年の一人と言われる佐藤祐の助手など勤まるわけもなく本来のスペックを十全に発動させたここねは世界最高クラスの才能をいかんなく発揮し研究に没頭していくのであった。
「待ってなさい祐くん♡私の熱い思いを心と体に届けてあげるからね♡ フフフフ……フフフフフフ」
壊れたラジオのように延々と笑いながら研究する姿は常軌を逸していたが天才とはこういう生き物なのかもしれない。異世界で変態の毒牙から逃れたと安心しきっている祐の未来に暗雲がたちこめていることは言うまでもない……
短めの話ですいません!
今度は現代からのアプローチも異世界に届いたりします。
ちょっとギャグ要素多めで書いてます。