列車
僕は、この列車に揺られて何年が過ぎただろうか?
この列車に乗ってるのは、僕だけだ。
運転手も僕以外の乗客はいない不思議な列車。
ただ、確かに理解できることはこの列車には、窓がなく外が見えないのと
僕が死ぬまでこの列車が止まることはない、いや、僕が死んでも止まることはないかもしれない。
僕に、ある選択肢は、二つあった。
一つは、近くにある非常口から飛び出すこと。無論、即死だろう。
もう一つは、列車に乗って一生を過ごすことだ。
そもそも、列車が止まらないから安全に降りることなどできない。
そう思った時、「本当にそうかな。」と声がした。
その声は、他ならぬ僕の声だった。
「何が言いたい。」俺は言い返した。
「この列車を走り続けさせてるのは、君だろ。」もうひとりの俺が言った。
次の瞬間、列車が止まった。
そして僕は、非常口から外に出た。
外で、僕が目にしたのは、誰もいなくて、建物もない、花も草も枯れた
終わった世界だった。
「俺は、逃げていたのか」そう思った。
そこで少年は一人、目に涙を浮かべて
「………」叫んでいたが、もはや声にもならなかった。