素敵なドクトリン
私の今現在書いてる唄う海から享カプ、アイドルは一つの繋がりを持つ世界です。
その上で考えなきゃいけないのは、その世界で海軍はどのようなドクトリンを持つのか、という事になります。今回はこれの説明を行います
私がこの世界で帝國海軍が現代は保持すべきドクトリンとして作ったのは、2つ。
一つは、戦艦が有用なままどころか、戦争のケリをつけるような海戦をし、生き残っている事から生まれた、核砲戦ドクトリンです。まぁ、核砲弾のパイ投げやりながら戦うには、どうしたらいいのか?という至極単純なドクトリンなのですが、史実どおり核実験により、酒匂が距離400メートルの地点で大破炎上の後、一日後に沈没したのを戦訓として、射撃された敵核砲弾に対して、着弾までに400メートル以上の距離をとれる速力を戦艦に付与する事です。
400メートルでは結局炎上して沈没してしまうのでは?と考えられるでしょうが、軽巡と戦艦は違いますので、許容範囲と思われます。倍の距離で水中爆発であった史実クロスロードでの長門は、開口部の被害こそいわれますが、浸水を停止する乗員などがあればまず間違いなく生存できるものとされていました
戦後の日本戦艦は間違いなく大和級に似た艦橋構造物を持つようになります(元々これまでの進化版であることは、比叡を見ればわかる)ので、被害は史実より抑えられる事は間違いありません
では、敵艦が発砲してから400メートル以上稼げる速力とはなんぞや?
核砲弾が投射されるような、時代になりますと、現代砲兵に不可欠な対砲レーダーが各艦に配備されます。撃った瞬間から落下地点が予測され、1分後には落着する。つまり、落下予測円から舵を切る、あるいは直進して危害半径である400メートル(つまり最低800メートル)を越える速力があれば良い・・・単純に計算すれば0.8キロ×60分÷1.85=25.9ノット・・・かかったな、アホが!
ではなく、艦体長を足した
1×60÷1.85=33〜35Knあれば、核砲弾の弾着地点をわざわざ通過しても回避が可能となるわけです。通常のように舵を切る事を考えるならば、30knぐらい、多少燃える事を許容するなら最低でも26kn強あれば事足りるでしょう
しかも、帝國海軍には、スクリュー・船体の最適化に定評のある異世界の歌姫、レーヴァテイルが居るので、近代化改装時に缶の取り替えさえ行うならば、帝國海軍は保有する全戦艦を核砲弾のパイ投げに対応した戦艦にすることが可能となるわけです
実際、史実長門級は改装で29knになる計画でしたし、大和級らが33knくらいにされるのはお約束みたいなもんで、荒唐無稽とまでは言えないものです
あとは、放射能洗浄装置に、リペアの乗組員を1セット用意したことで、核砲戦は実現可能なドクトリンとして帝國海軍は採用したわけです。
まぁ、同盟国であるイタリア海軍ですら
『あいつら、宇宙人とでも戦うつもりか?』
とどん引きされております
そして問題は、海戦のもう一方の雄、空母の方になってきます
今現在の史実として、米海軍の空母がフロム・ザ・シー、というドクトリンで運営されていることは、良く知られています。簡単にいえば、海洋からどれだけの戦力(火力)を投射できるか、というのが問題点とされるドクトリンです。このドクトリンは名前や手法を変えてこそおりますが、朝鮮戦争以来、全く変わっておりません。
理由は簡単です。なぜなら、もはや帝國海軍が存在しないからです。米海軍にとってまともに戦える、あるいは戦えた海軍は帝國海軍以降いまだ存在しません。
これは持論でもありますが、空母一隻沈めるのと引き替えにほぼ消滅してしまう予定の旧ソ連、そして中国海軍は相手にすらならない存在です。
彼らの選択した潜水艦による通商破壊ドクトリンは、二度の大戦で完膚無きまで敗北、破綻しており、戦略核の投射能力以外の効力を持ちえません。海は常に米海軍の主導権があり、これが動く事はほぼ100%ありえません
では、翻って唄う海以降の水底世界はというと、日本とイタリア、イギリスとフランスと、現・米軍なみの大型空母を多数運用し、大規模戦闘に入る可能性が大いにある世界です。フロム・ザ・シーに入る前に、空母は海戦に勝利するという一仕事をしなきゃなりません。
では、どうしたらいいのか?
こうなると、各国のバックグラウンドが重要になってきます。そして、注目すべきはその時最大の戦力を持つ海軍のやり方です。なぜなら、最大でない海軍のやり方が主流となった場合、大きい海軍は最大でない海軍のやり方をする部隊を同数保持すれば一応対応出来ると共に、自由に使える差分で相手を殴る事が可能だからです
ですので、この世界での海軍ドクトリンを決定づけるのが、帝國海軍が造り出したドクトリンとなるのに、納得いただけると思います
そして彼らは、空母を攻撃戦力として運用することを放棄します。何故なら別の攻撃力・・・優勢な戦艦勢力を保持しているからです。決着は彼らが作れば良い。見栄えも良いし、沿岸都市に彼女達が現われて砲撃されるなんて事になるなら、その戦争はあきらかに負けだとその国の国民に認識させることが可能だからです
オール・ファイターズ・キャリアー・ドクトリン。これが、この世界での空母が持つドクトリンです。
帝國海軍の空母部隊は負けないための盾であることを選択したわけです。
では、仮に艦載機を80機を搭載できる空母が一対一で戦うとしましょう。
片方は全部戦闘機です。一方は、半分半分としてみましょう
それでは、戦闘を開始します。まず最初に攻撃機を含む側から攻撃を行わせてみましょう。当たり前の話ですが、全機攻撃は出来ないので、20機の攻撃機に護衛の戦闘機20機、一方受ける側は40機の戦闘機によって守られていると仮定します。
どっちが勝つか考えるならば、20機の護衛機を20機の直掩機が相手どり、残りが攻撃機に襲い掛かります。もしかしたら、もう少し攻撃側の戦闘機を増やした場合なら、何機か通り抜けられるかもしれません。攻撃機を落とすにも時間がかかりますし、襲い掛かる機が少数機になればなるほど攻撃効率が下がりますので。
ですが、その先に待ち受けるのは絶望です
この世界では、大型の砲戦艦艇が大量に現役に残ると共に、対空ミサイルのみならず、砲熕兵器にも大量の予算が投じられており、エリアディフェンスはともかく、ポイントディフェンスの火力、そしてそれを維持するだけの防御力が現実よりケタが違うからです。
では次に、オールファイターズキャリアー側が攻撃側に回ったとしましょう。攻撃側はまともな対艦攻撃能力を保持しておりませんので、敵空母の能力喪失・・・敵艦載機の切り取り、つまり、ファイタースイープを目的とするでしょう
同じく半数攻撃として、40機に、直掩の40機の戦いとなります。この場での勝負はつかないでしょう。あるいは攻撃側が押される展開になるでしょうが、一方的な展開にはなりえませんでしょう。仮に、攻撃側が10機、防御側が5機の損失とします。
この時点で70機の戦闘機対35機の戦闘機+40機の攻撃機として、第二次攻撃は攻撃側40機対防御側35機の戦いとして互いに10機の撃墜とします
この時点で60機の戦闘機対25機+40機・・・まだ攻撃側は40機の直掩が出せるので防御側は攻撃出来ません。攻撃側はさらにスイープしにやってきます
40対25、これでも防御側が奮戦したとして互いに10機落としたとしましょう。攻撃側空母には50機の戦闘機が残り、防御に十分な40機を保持しており、防御側が攻撃なんてもってのほかです。しかし、次のファイタースイープを受けた場合、40対15機で戦うことになります。攻撃側がほぼ三倍で殴りかかってきます。もうやりようがありません
しかも、ここまで見てきていただければおわかりかと思いますが、防御側直掩はずっと同じ機がでずっぱりであり、攻撃側と較べて明らかに疲労の度が違ってくるでしょう
この時点までの戦闘で戦闘機の損耗率は攻撃側37%に対し防御側62%となり、オールファイターズキャリアーとは、通常の空母より約二倍ほど戦闘効率が良いとなるわけなのです
ですので、享カプでも、仮に第三次世界大戦が勃発した場合、一時期はどうしても欧州で孤立するイタリアも日本と同じくオールファイターズキャリアーを採用しており、以下の飛行隊をアクィラで運用しているので参考いただきたい
アクィラ飛行隊編成(1964年)
五個戦闘飛行中隊(旋風・9×5)
三個遠距離戦闘飛行中隊(旋風・9×3)
一個偵察飛行中隊(崔雲・4×1)
一個対潜・救助飛行中隊(アグスタA103・8×1)
合計84機
戦時には、さらに予備として一個戦闘飛行中隊を増載。この数は、二次改装後の信濃級にやや勝り、三次改装(烈風や、後の砕風(トムぬこ相当)に合わせて拡充が行われた)後にやや劣る数である
ちなみに戦闘飛行隊の遠距離とは、直掩を常時行い、敵編隊が艦隊に近づく前に先行して遠距離で空戦を行う部隊の事で、比較的ウ゛ェテランが配属されているが、戦闘飛行隊がその任に就く事もままあり、特に変わりはない
と、つらつら数字や根拠っぽいものを挙げてまいりましたが、まぁぶっちゃけ、水底世界の海軍は巨大な盾を装備して、物理で殴る、あるいは押し潰すがデフォルトなんだな〜と理解してもらえたらこれ幸いです
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