ガロファノ級
1960年代、大日本帝国海軍で水上艦の圧倒的優勢を元に潜水艦部隊の減勢が進められていた頃、イタリア海軍はというと、第二次世界大戦時に譲渡されたレーウ゛ァテイルの少なさから、絶対的に彼女達の数の不足が取り沙汰されていた
『主力艦にレーウ゛ァテイルを配する事は成功したし、日本から供与された高性能のソナーを随伴艦艇各艦に装備することも出来た。しかし』
帝國海軍が誇る音姫、レーウ゛ァテイル程の正確な探知は期待できそうに無い
『だから、日本ほどの潜水艦の減勢は出来ようもない』
『だがな、この地中海という戦場、どうした所で海峡を挟むとなれば、潜水艦に何の意味を持たせるというのだ』
そんな事をするよりも、水上艦を増やして、主力艦の水中への矛であり、盾に用いた方が良いのではないか?という意見も、また支持を得ていたのだ。そこに
『ちょっと待ってほしい。もし、潜水艦をあまりにも減らし過ぎた場合、フランス海軍の艦艇から対潜装備の数を減らし、対艦兵装を増強させてしまう恐れがあるではないか』
日本はそれで良い。英海軍が仮にそうなっても、数の優位は変わらないし、フランス領インドシナ他に展開せざるを得ない仏海軍も、無視は不可能だ。英仏の海軍が手を合わせて、ようやく対抗出来る。それが日本だ
『その上でむしろ我々がとるべき道は』
条約で決められたのもあるから、追加建造はもはや出来ないが、V・ムッソリーニとリットリオ級戦艦という高性能戦艦で、敵に無視できない力を保持し続ける事と同じように、敵に無視できない、高性能潜水艦のいくらかを保有し続ける事ではないだろうか
『今まで前大戦型とはいえ100隻を越えていた保有潜水艦は明らかに処分すべきですが、16隻ぐらいで新型を保有するのは妥当だと考えます』
『16は多いだろう』
誰かが突っ込んだ
『東西に8隻、二個戦隊、正直あと8隻欲しい所ですよ。戦隊の数を3隻にし、三交替制にすると18隻、最低ラインですよ16隻は』
皆が唸った
『2隻二交替制で8隻、隻数削減の代わりに原子力で展開海域の拡大や交代回数を減らすのはどうか』
『駄目だ駄目だ!地中海を放射能汚染させる気か!』
それにはほぼ全員が理解を示した。この海じゃ自浄作用が小さすぎる。死の海になってしまう
『では、通常型の大型化で納得するしかありませんな』
そんなこんなで喧々囂々の協議がなされ、結局、12隻が整備される事が決定。1960年代初頭から整備が開始されるのである
『命名はどうしようか?イタリアにとって、ある意味新しい世代の潜水艦であるが』
『そうだな・・・』
Garofano級潜水艦
基準排水量2200トン
全長66m
全幅・全高8.8m
最高速度・水上15kn/水中18.5kn
魚雷発射管6門/魚雷搭載数24発
最大潜航深度230m
乗員78名
1番艦Garofano(ガロファノ、撫子)
2番艦amarilli(アマリリー、アマリリス)
3番艦olandese bianco(オランデセ・ビアンコ、シロツメクサ)
4番艦violetta(ウ゛ィオレッタ、スミレ)
5番艦crocus(クロクス、クロッカス)
6番艦viola del pensiero(ヴィオラ・デル・ペンシエロ、パンジー)
7番艦bellflower(ベルフラワー、桔梗)
8番艦Narciso(ナルチソ、水仙)
9番艦amarilli di grappolo(アマリリー・ディ・グラッポロ、彼岸花)
10番艦cardo(カルド、あざみ)
11番艦girasole(ギラソーレ、ひまわり)
12番艦magnolia(マグノリア、木蓮)
レーウ゛ァテイルの耳による水中雑音と抵抗を抑える技術として、日本がイー600級で採用した涙滴型船体をイタリア海軍も参考にしてガロファノ級潜水艦は建造され、フランス海軍で建造されつつあったダフネ級潜水艦を圧倒する性能は、フランス海軍を一時パニックに陥らせるのである。この性能に満足したイタリア海軍は、後期型ガロファノ級(通称、ガロファノB級)と呼ばれる8隻の建艦を行っている。享楽と絶望のカプリッチョ時点では、4番艦、アネモネまでが就役していた
ガロファノB級
1番艦Camellia(カメリア、つばき)
2番艦
Vite(ヴィテ、ふじ)
3番艦
Fuyang(フヤン、芙蓉)
4番艦
Anemone
4番艦までなのは、私が思いついた花の名前がそんくらいだったためではアリマセンヨ?(遠ひ目)
まぁ、ぶっちゃけ史実バーベル級改みたいなもんです




