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フロン級対空軽巡

フロン級に関する建艦事情




1960年代、イタリア海軍は空母を保有したために、艦隊、ひいては対空能力の強化に力を入れていた。この時誕生したのがエトナ級対空大型軽巡である。



エトナ級要目



基準排水量7500トン

全長180メートル

全幅19メートル

機関73000馬力

速力30ノット


武装

OTOメララ5in連装高角砲×5

OTOメララ3in単装高角砲×4

メロカ・20mm120口径連装機銃×4



かの艦に装備された兵装は、元々単装であった砲架を改造したOTOメララ127ミリ連装砲の五基を中心線上に背負い式に配置し、かつまた同社の76ミリ単装砲四基を舷側に配置、機銃と共に近接火器とした。

その姿は二次大戦中の米海軍アトランタ級、あるいは英海軍のダイドー級の流れをくむ、帝國海軍が整備を始めていた青葉級対空大型軽巡、あるいはフランス海軍の防空軽巡ド・グラースに大きく影響を与えられたものとされる



エトナ級は海軍に引き渡されてからの運用実績も良好であり、イタリア海軍はその性能に大きく満足した。しかし、彼女達を不満に思う一派も存在した。彼らは、砲を連装化した事で経戦能力こそ強化することには成功したが、即応(初弾の出が多少遅い、旋回速度も)力で劣り、高速化が進む航空機に対し、のではないかという面々だ



ではどうしたら良いのか?ならば、出来るだけ軽くて取り回しが効く物を代わりに出来たら良い、一発一発の命中率が高い物なら尚更だ・・・そこでと選ばれたのが、当時開発が進んでいた対空誘導弾を搭載することだった。

しかし、フロン級がすんなり現在の姿に落ち着いたわけではない。一つは艦のレイアウトだ。結果として各砲塔に連装発射基を設置することに落ち着いたのだが、防弾・・・砲弾よりよほど危険なのは言うまでもない。その為、前部発射基の内一基を撤去し、各発射基の間隔を空け、ダメージコントロールしやすいようにしたいという要望があったのだ。それに加えて、誘導装置の増設を行い、誘導性能の向上を計ろうとも、その派はしていた。しかし、発射装置のレイアウト変更は設計に大きく関わる問題であり、建艦計画が大きく狂ってしまうこと。誘導装置の高性能化による高コスト化、そして、軽巡程度の船体での防御にリソースを割く余裕の度合いから、この改設計は没になってしまうのである

そしてもう一派からも横槍は入った。フロン級のヘリ巡洋艦建造派の存在である。彼等はアクィラ級大型正規空母以外のヘリプラットフォームも欲しかったのだ。これぐらいの船体があれば、格納庫付きで6機は運用できる。空母飛行隊で、対潜・人員輸送・AEW・対艦・対地支援と、ありとあらゆる運用を8機体制でやっているヘリ運用のハードな負担を、少しでも緩和できたらと考えたからだ。しかし結局のところ、彼等の意見も退けられた

理由は、計画が立案されていた1960年初頭に、日本海軍とともに行われた潜水艦予報事件が、普及が割と進んでいたテレビで、大々的に報道された事に端を発する。太平洋、北極海、地中海に存在する殆どすべての英仏の潜水艦の所在を、余すところなく暴露したばかりか、針路を予測して入港まで放送し続けたのだ

レーヴァテイルの聴音による最大のデモンストレーションの結果は、地中海からの英仏潜水艦全面撤退。北極海における戦略原潜のシフト見直しと前線の後退、原潜の建造予定のキャンセルである。地中海で対潜する相手がほぼ消滅してしまったのだ

AEWや人員輸送に関しても、順次リットリオ級が改装に入った事や、ヘリ搭載甲板のある偵察艦の就役開始ので要らなくなってしまうと、ヘリ巡洋艦の必要性は希薄になってしまった

かくしてフロン級対空軽巡と名付けられたかの艦は、予定通り単能艦として誕生するのである。現場での評価はエトナ級に引き続き上々、しかし五基という発射基と誘導装置の設置のせいで、各弾庫には16発しか搭載できず、経戦能力に疑問が出るという、本末転倒な不満が出たのであるが

海軍上層部は、それならば、と、エトナ級とフロン級を組ませて運用することで、お互いの欠点をカヴァーするよう考えた




かくして両艦は、一組のペアとして戦陣に轡を並べるのであった。後はコンバットプルーブンを果たすのみ。そして、その機会は訪れるのである


建造数

エトナ級(2隻)

エトナ・ラハール


フロン級(2隻)

フロン・プリニー



命名は火山関連の用語から、あーかいつーきーあかいつきー

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