堕天使
何のために僕は生きていたのだろう。
空を見上げる。
黒と赤の雲に覆われた空だ。
吐き気がする臭いがずっとしている。歩道には屍が転がり、アスファルトを赤く染めている。
風は止まり、辺りから聞こえるのは羽ばたきの音だけだ。人の声も車の音もしない。
黒い翼が生えた天使たちが飛び回っている。どの天使も同じ姿だ。長い金髪。青い目は一つ、口には常に笑みを浮かべている。手には一本の長剣を持ち、血に染まっている。
彼女達は空から地上を見下ろしている。もう動くものもないのに獲物を探し続けている。
「リーファ……」
世界が終わるまで、僕に連れ添ってくれた天使。
大魔法によって彼女は壊れ。世界を滅ぼすために堕ちてしまった。
世界の終わり。
定められた未来。
ついにそれが来てしまった。
来ることは分かっていた。
リーファから何度も聞いていた。
だけどただの高校生の僕には何もできないし、どうやら世界の人々も何もできなかったらしい。
気が付けば大魔法が発動していた。
リーファによって、僕以外は皆殺された。
後に残ったのは僕一人。
一度も狙われなかったのはリーファの恩情なのだろうか。それともやり直せという事か?
目の前には、すべてをやり直すための扉が一つ。
すべてをやり直すなんて可能なのだろうか。
だけどやり直すしかない。
もう皆死んでしまったのだから。
この未来を生きても仕方がない。
「行くか」
言葉が静かに溶けていく。
雲はどんどん赤く染まっていく。
世界の終わり。
世界の破滅。
それを変える。
「よし、行こう」
僕は扉を開き、くぐる。
すべてをやり直すのだ。
そして結末を変えて見せる。
それが僕の中の思いだった。
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