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第2話:寝落ち電話、心臓に悪い
夜、23:47。
ゆずちはベッドの上でゴロゴロしながら、
「そろそろ寝よっかな〜」って思ってた。
スマホの画面を閉じようとした、その瞬間──
通知が鳴った。
さらちからの通話。
ゆずちは一瞬、ためらった。
「え、今から…?寝る前やん…」
でも、指は自然と“応答”を押していた。
通話がつながると、さらちの声がふわっと届いた。
「…ゆずち、今日もありがと。声聞きたかっただけ。」
その言葉に、ゆずちは心臓が跳ねるのを感じた。
(え、そんなこと言われたら…心臓に悪い…)
ふたりは、特別な話をするわけでもなく、
ただ「おやすみ」って言い合って、
そのまま静かに、通話をつないだまま眠りについた。
部屋は暗くて、画面も消えていて、
でも、ふたりはつながっていた。
翌朝、ゆずちはスマホを見て笑った。
通話時間「4時間12分」。
“好き”って言葉はなかったけど、
その沈黙の中に、ちゃんと愛があった。
通知で始まったふたりの関係は、
今、沈黙でもつながってる。
寝落ち電話の沈黙は、ふたりのぬくもり。
「4時間12分」──言葉より長い愛の証。
通知が鳴るたび、ふたりの物語は続いていく。




