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第16話:さらち、ゆずちの父に会って震える(※いないのに)
恋人の家って、なんであんなに緊張するんやろ。
これは、“いないはずの父”に気を使ってしまった、ちょっと不思議でかわいい午後の話
ある日、ゆずちが言った。
ゆずち「今度、うち来る?お母さんおるけど、父はおらんで。」
さらち「え、父おらんの?…でもなんか…緊張する…」
ゆずち「なんでやねんww」
でも、ゆずちの家に着いた瞬間── さらちは、勝手に背筋ピーン。
声もワントーン低くなって、敬語モード。
ゆずち「え、誰に気使ってんの?」
さらち「…ゆずちの家の空気が、“父”って感じする…」
ゆずち「いないけどなww」
そのあと、ゆずちの母が「さらねくん、緊張しすぎよ〜」って笑って、
さらちはようやくリラックス。
でも帰り道、ゆずちが言った。
「さらち、父おらんのに震えてたの、かわいすぎた。」
さらち「…通知名、“ゆずちの父に認められたい”にしよかな。」
背筋ピーンも敬語モードも、全部がさらちの“本気の気遣い”。
その日、ゆずちの家の空気に震えたさらちは、通知でそっと想いを残した。
「ゆずちの父に認められたい」──いないけどな。




