氷の季節
春の年ごろだといわれるけれど
通りかかる少女たちはきまって冷めている
とがった前髪やスカートで風を切り
今にも割れそうにこの一瞬を生きている
大人の世界では異物のようだろうけれど
色を問われない時期は後悔したくない
誰も遠慮してパレットに手をつけないのは
実は透明よりうつくしいあり方を知らないだけ
少しの熱や善意でもとけてしまうから怯え
なかよしだけで狭い基地をつくってしまう
凍っていられさえすれば悩みはない
氷の季節はこどもに次いでのんきそうだ
もし暖かいものを受け付けられるようになったなら
それは素晴らしくも名残惜しい
少女期も終わりが近づいている