令和鬼合戦8:天才の執着と~一週間の覚醒~
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今回は、猿掌衆の若き天才・大ノ木モモの物語です。羅夢多に投与された「強化剤」の真実に迫ります。
休暇を捨てて研究に没頭した彼女が見出した可能性。 そして、一週間に及ぶ地獄の修行の果てに、羅夢多が辿り着いた「新たな力」とは。
初代の速度と二代目の質量。その矛盾を繋ぐための蒼き内燃機関が今、産声を上げます。
モニターの青白い光が、大ノ木モモの瞳に複雑なコードを映し出していた。 彼女は、世間一般で言われる「普通の幸せ」に興味を持ったことがない。
忍者学校を卒業し、三ヶ月の新人研修を終えた後のことだ。同期たちが一ヶ月の休暇を謳歌する中、モモだけは休暇を返上し、最前線である岡山基地への配属を志願した。
これまでの数々の兵器開発における高い評価があったからこそ、特例として認められた配属。彼女はそこで、開発途中だった多機能補給物資――『吉備団子』を完成させ、軍上層部を驚愕させた。
休暇期間中に、彼女は異例の速さで上忍へと昇進。基地の最深部、そして最高機密情報へのアクセス権を手に入れた彼女が没頭したのは、伝説の『八岐大蛇』の細胞を使った強化剤の研究だった。
「……あの日、羅夢多が切り落とした『S級の腕』がなければ、この研究は終わっていたわね」
モモは、机の上に置かれた二本の空のシリンダーを見つめた。大蛇の細胞はあまりに凶暴で、人間の魂脈を容易に焼き切ってしまう。しかし、羅夢多が命懸けで奪取したS級個体の生体組織を触媒として混ぜることで、実験は奇跡的に成功した。
完成した強化剤は、世界にわずか二本。モモは、一本目を迷わず自分の腕に打った。安全性に確信はあったが、もし副作用が出るなら、自分一人が背負えばいいと考えたのだ。しかし、彼女の体に変化は起きなかった。
「……最上級の強化剤を羅夢多に」
目覚めた羅夢多に投与した際も、当初は数値的な変化は見られなかった。しかし、秋山大吾と藤林兆計、二人の怪物の手によって極限まで追い込まれたこの一週間で、羅夢多の肉体は変わり始めた。
魂脈の出力は測定器の限界値を超えつつある。測定器を超えることは珍しくないが新人忍者なら異例の早さだろう。モモは、訓練場で汗を流す羅夢多の背中を、モニター越しに静かに見守っていた。
(……まだ完成形じゃない。『最強の忍』になれる。……ううん、なってほしい)
それは開発者としての期待か、あるいは、それ以上の「想い」か。モモは火照る頬を隠すように眼鏡を直した。
修行開始から一週間。訓練場で、羅夢多は静かに目を閉じていた。
彼の内側で、強化物質が魂脈と完全に融解し、新たな回路を形成している。それは、「速度」を維持したまま、「質量」を放つための、強靭すぎる土台の完成を意味していた。
「……来るぞ」
秋山が鉄断刀を構え、藤林が宙で印を結び、見守る。
羅夢多の全身から、バチバチと蒼白い放電が弾けた。
「――『鬼火装』」
それは、体内で爆発的な電力を発生させ、筋力と神経伝達速度を極限まで引き上げる「内燃機関」の術。鈴木家に伝わる秘伝の忍術。皮膚から漏れ出す蒼い帯電が、闇夜に揺らめく鬼火のように彼のシルエットを縁取る。
羅夢多が動いた。加速は『一閃』に匹敵し、その拳には『真金』の質量が宿っている。
ドォォォォォォン!!
放たれた一撃は、基地最強を誇る「強化防壁」を、紙細工のように粉々に打ち砕いた。凄まじい衝撃波が訓練場を震わせる。以前の羅夢多なら自らの腕が砕け散っていたであろう負荷も、再構築された今の肉体は何事もなかったかのように受け止めていた。
(……すごい。……源隊長をも超えられる)
モニター越しに、モモは熱い吐息を漏らした。それは開発者としての歓喜か、あるいは一人の少女としての「想い」か。
――札幌の大門が開いてから、一週間。北の都では、今も九番隊や雉翼衆が、絶え間なく溢れ出す鬼の軍勢と血みどろの死闘を続けている。
「あと三日で札幌の門が閉じなければ七番隊だけ岡山に残してあとは札幌に派遣よ」
モモの声に応えるように、訓練場から凄まじい衝撃波が基地全体を揺らした。『鬼火装』をその身に宿した羅夢多が、静かにだが鋭く牙を剥いた。
第八話をお読みいただきありがとうございました!
モモの執念が生んだ「八岐大蛇の強化剤」、そして一週間の修行の果てに羅夢多が手にした『鬼火装』。 「重さ」を「速度」で叩き込むための最強の土台が完成しました。
羅夢多への想いを胸に、モモは彼を死地へと送り出します。
次回、第九話。 ご期待ください!
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※AIとの共同執筆作品となります。




