令和鬼合戦:鬼皮の黙示録~反逆の包囲網~
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羅夢多の「空間解体」により暴かれた、人桃衆本部の地下深く眠る異形の書庫。
しかし、数千年の封印を解いた代償は、あまりにも重いものでした。
「平和の守護者」を自称してきた人桃衆が、ついにその仮面をかなぐり捨て、牙を剥きます。
地下資料室の空気は、一瞬にして凍り付いた。
「素晴らしい……! デジタル化されていない、手付かずの一次資料がこれほどまでに!」
編纂班リーダーの古関は、鬼の皮に記された古書を前に、学者としての本能が恐怖を上回っていた。掠れた血文字、異質な質感の装丁。彼にとってそこは宝の山だった。しかし、その傍らに立つ源 雲切の五感は、資料の価値ではなく、死の予感に反応していた。
「……古関さん、浮かれるのはそこまでだ。客人が増えてきたぜ。注意していてくれ」
「えっ!」
源の言葉通り、資料室の入り口から、音もなく人桃衆の戦闘員たちが滑り込んできていた。一見、これまでの調査に協力していた職員たちと同じ制服だが、纏っている魂脈の質が違う。廊下は、数歩先も見えないほどの人影で埋め尽くされ、鼠一匹通れぬほどの密度になっている。
不自然な包囲。源は抜刀こそしていないが、古関に「戦闘になる。死にたくなければ俺の背後から離れるな」と短く鋭い合図を送る。非戦闘員の古関は、その瞬間、一気に現実へ引き戻され、紙のように顔を青ざめさせた。
その直後、ビル全体にけたたましい非常警報が鳴り響いた。
同じ頃、上層階のIT管理室。
不破 計良と藤林は、完全に退路を断たれていた。廊下を埋め尽くす戦闘員の中央から、異質な駆動音を響かせて一人の人物が進み出る。
それは、体格こそ小柄だが、不破が開発した強化外骨格をさらに小型・高出力に調整した特注品を纏った隊長らしき男だった。
「……八番隊の藤林隊長ですね。正面から戦って、我々が貴方に勝てないことは百も承知です。ですから、大人しくしていただきたい。少し時間を稼がせていただきたいのです」
「断る」
藤林が低く、しかし底冷えする声で応じる。不破の足元の影が粘り気を持つ液体のように膨れ上がり、不破の膝までを飲み込んだ。
「逃がすな! 拘束しろ!」
「わわわわわっ、何これ!? 影!? 溶ける、溶けるー!? 誰か助けてー!」
混乱して暴れる不破を、藤林は無造作に小脇に抱え、自身の魂脈を「影」そのものへと同調させた。二人の体は物理法則を無視して黒い淵へと沈み込み、襲いかかった戦闘員たちの手をすり抜けて、跡形もなく床に溶けて消え去った。
一方、研究フロアの廊下では、羅夢多が四方から襲い来る戦闘員を素手で捌いていた。
「やめろ! 仲間同士だろ! !」
必死に叫ぶ羅夢多だが、洗脳に近い忠誠心を植え付けられた人桃衆の兵たちに、その声は届かない。彼らの目は虚ろで、まるで機械的に攻撃を繰り返している。
その背後で、犬牙衆総大将・尾上 鉄山の巨体が不気味な音を立てて膨張していた。
「……モモ、わしの後ろにおれ」
総大将の秘奥義『大入道』。服が裂けるほどに筋肉が鋼鉄のごとき硬度で膨れ上がり、迫り来る兵たちを巨大な掌で薙ぎ払う。
「総大将、あんまり無茶しないで! 手加減してよ、死んじゃう!」
「わかっておるが……この数は、手加減などしていればこちらが押し潰されるわ!」
尾上の一撃が壁を粉砕し、人桃衆の精鋭たちを十数人まとめて吹き飛ばす。しかし、廊下の奥からはさらなる増援が波のように押し寄せてくる。
人桃衆は敵なのか。自分たちが信じてきた組織の一部が、これほどまでの敵意を剥き出しに牙を剥く現実。
「羅夢多!退くぞ!」
総大将の叱咤に、羅夢多も逃げ場を探す。
その時、足元の影が羅夢多たちを飲み込み始めた。
「なんだこりゃ!?」
「藤林じゃな。このまま飲み込まれるぞ!」
英雄の拠点であったはずの本部ビルは、いまや真実を葬ろうとする巨大な死の迷宮へと変貌していた。
第五十五話をお読みいただきありがとうございました!
分断された調査団。藤林の影によるトリッキーな離脱と、尾上総大将の圧倒的な質量攻撃。
人桃衆は、もはや隠蔽を諦め、武力による殲滅へと舵を切りました。その異常なまでの徹底抗戦は、これから向かう「鬼城山」に、さらに重大な秘密があることを示唆しています。
次回、お楽しみに!
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※AIとの共同執筆作品となります。




