令和鬼合戦:理を解体する眼~剥がれ落ちる虚飾~
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メンテナンスという名の拒絶を、羅夢多の十字の瞳が打ち砕く。
しかし、現代的なオフィスビルの壁の向こうに隠されていたのは、最新鋭の設備ではありませんでした。
そこに眠っていたのは、犬牙衆総大将・尾上すら絶句させる、血と呪いに彩られた「真実の残骸」。
「……モモ様の冗談は、相変わらず鋭いことで。ですが、あちらは本当に危険な高圧魂脈が流れておりますので」
桃瀬舞の笑顔は崩れない。しかし、彼女の背筋を流れる微かな冷や汗を、羅夢多の十字の瞳は鮮明に捉えていた。同時に、階下で調査を進める仲間たちから、モモの通信端末へ次々と衝撃のデータが飛び込んでくる。
「モモ、不破先輩からよ! トラックの走行データ、GPSが鬼城山の手前で不自然に途切れているわ。さらに、過去三年間の備品購入リスト……劇薬と、大量の『強化骨格』用パーツが含まれている!」
モモの声は、案内を続ける桃瀬にもはっきりと聞こえる大きさだった。桃瀬の頬が、一瞬だけぴくりと引きつる。
「……桃瀬さん。もう『お芝居』はいいですよ」
羅夢多が、目の前の「特別保管庫」の扉へと一歩踏み出した。十字に裂けた黄金の瞳が、激しく脈動を始める。羅夢多の視界では、扉に施された最新式の電子ロックも、厚さ数十センチの魂脈遮断合金も、すべてはただの「不安定な分子の集合体」に過ぎなかった。
「理を解体する。……消えろ」
羅夢多が虚空を掴むように手をかざすと、空間そのものが軋むような音が響いた。次の瞬間、堅牢なはずの保管庫の扉が、まるで古い砂細工のように音もなく崩れ落ち、さらさらの粒子となって消滅した。
「……な、何、ここ……」
桃瀬舞が呆然と呟き、その場にへたり込んだ。彼女ですら知らされていなかった「壁の向こう側」。
そこにあったのは、最新鋭のラボなどではなかった。照明すら届かない薄暗い石室に、うず高く積まれていたのは、あまりにも古い書物の山だった。
「紙……じゃないわ。これ、何かの皮よ」
モモが恐る恐る一冊を手に取る。それは色褪せてはいるが、生々しい赤や黄色の色彩が残り、奇妙な柔軟性を持っていた。人肌とは違う、強靭で禍々しい質感。
「……鬼の皮だ」
羅夢多が断定するように言った。その皮には、日本語でも大陸の言語でもない、ミズチの解析ですら即座に判別できないほど古く、異質な文字が綴られていた。
「……これは……どういうことだ……」
尾上総大将が、震える手でその一冊をめくる。
「人桃衆……貴様ら、今までこれを隠し通してきたのか。犬牙衆の歴史の裏で、これほどの資料を……!」
「知らない!私も知らなかったのよ!」
おそらく本当のことだろう。広報にすべてを知ってもらう必要はない。
奥へ進むほどに、資料の量は増していく。そこは現代の岡山基地の記録すら凌駕する、地獄と人間に関する「禁じられた知識」の集積地だった。
尾上鉄山は、もはや怒りを通り越し、静かな殺気を全身から放っていた。
信頼していた仲間が、自分たちすら関与できない場所に「真の聖域」を築いていた。それは明らかに反逆行為だった。
「モモ! 直ちに本部に連絡せよ。……総大将命令だ。全犬牙衆を動員し、人桃衆の全基地、及び研究所を完全確保しろ! 抵抗する者は捕らえろ!」
「了解しました!」
モモが即座に緊急通信を飛ばす。
静かだった本部ビルに、一斉にサイレンが鳴り響いた。
地下資料室から合流した源と藤林が、立ち塞がる警備班を文字通り一蹴していく。
「人桃衆は敵なのか?……。おい、広報さん。あんたの知らない『本当の案内』が、ようやく始まりそうだぜ」
源の刀が鞘の中で狂喜するように鳴った。
人桃衆という組織が、守ってきた「血塗られた設計図」。その正体を暴くための、真の戦いが今、幕を開けた。
第五十四話をお読みいただきありがとうございました!
十字の瞳が暴いたのは、最新技術の裏に隠された「呪術の起源」でした。
鬼の皮に綴られた禁忌の書物。それは、温羅がどこから来たのか、そして人間が何をしてきたのかを解き明かす鍵となります。
次回、お楽しみに!
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※AIとの共同執筆作品となります。




