令和鬼合戦5:強化の胎動 〜深紅のテンテキと、北への軍靴〜
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出雲での死闘の末、羅夢多が目覚めたのは岡山基地の医務室。 しかし、彼を待っていたのは「仲間たちが札幌へ旅立った」という冷酷な事実でした。 源隊長の圧倒的な回復力、そしてS級の生き残り。
自分の非力さを知った羅夢多が、モモの導きでさらなる「強化」へと踏み込みます。 鈴木一族の血に眠る真の力が、ついに覚醒の時を迎えます!
消毒液の臭いと微かな鉄の混じった空気。
鈴木羅夢多が重い目蓋を持ち上げると、そこは岡山基地内の無機質な医務室だった。
「……気がついた?」
聞き慣れた声に視線を向けると、そこにはパイプ椅子に座り、ツインテールに眼鏡をかけて端末を操作している大ノ木モモがいた。
「モモ……。ここは……九番隊のみんなは?」
「ここにはいないわよ。……九番隊は札幌に向かってるわ」
羅夢多は起き上がろうとしたが、全身に走る激痛に呻き、再びシーツに沈んだ。体は凛の術で修復されているはずだが、芯に残るダメージが「重り」のように全身にまとわりついている。
「動かないで。あんた、自分がどんな状態だったか分かってるの? 全身切り刻まれてズタズタ。凛さんが血を大量に使って、死ぬ気で再生させたんだから」
凛の献身的な治療のおかげで、何とか助かった。
「戦いは……出雲はどうなったんだ」
「あんたがやられた直後に七番隊と八番隊が応援に駆けつけて、出雲の残党はすべて討伐。でも、あのS級の白の一本角だけは門の中に逃げたわ。……源隊長が言ってたそうよ。『羅夢多が作った一瞬の隙のおかげで腕を治せた』って」
「隙……?」
「ええ。あんたの攻撃、無駄じゃなかったわよ。あの化け物の六本の腕の内、一本を切り落としてたわ」
「体の一部とはいえ、S級のとても貴重なサンプルを回収できたわよ」
下忍である自分の『一閃』が、S級に届いていた。その事実に僅かな高揚を覚えたが、隊長の負傷が頭をよぎる。
「源さんの左手は……治ったのか?」
「源隊長は自分の怪我なら即座に治せる自己回復専門の忍者よ。骨折程度、基地に帰還する頃には完治させてたわ。……化け物よね、本当に」
だが、安堵の時間は短かった。モモが操作するモニターに、真っ赤に染まった日本地図が映し出される。
「状況は最悪よ。今、札幌に過去最大級の『大門』が出現したわ。 日本中の基地から全忍軍が集結してる。岡山基地は……一番隊と二番隊は壊滅、三、四番隊も半数以上が戦死。五、六番隊はほぼ無傷、ほとんど被害がない七、八、九番隊は札幌へ向かった。新人のあんたたちは、置いていかれたのよ」
羅夢多は拳を握りしめた。悔しさが、痛みを超えてこみ上げる。強くなければ守れない。仲間と共に戦うことすら許されない。
「もっと、強くならなきゃダメだ」
「……そうね」
モモが立ち上がり、保冷ケースから深紅の液体が入ったパックを取り出した。
「お見舞いと、適応検査の結果。……あんた、鈴木家の血筋だけあって『犬牙用強化物質』への適応が完璧に出たわ。親も祖父もこれを取り込んでいたから、あんたは元々身体能力が高いの。でも、さらにその上を行く強化を、今からやるわよ」
モモが手際よく、羅夢多の腕に針を通す。
「点滴でゆっくり入れるから、一晩寝てる間に終わるわ。……次に目が覚めた時、あんたの肉体はかなり強化されて伸びしろもできるはずよ」
「……頼む」
透明な管を流れる深紅の物質が、体内に侵入した瞬間。全身の血管が焼き切れるような熱波が襲った。
「寝なさい羅夢多」
意識が遠のく中、羅夢多は深い闇へと沈んでいく。その闇の底で、鈴木一族に刻まれた「五代目の犬牙衆の理」が、静かに目覚めの刻を待っていた。
お読みいただきありがとうございました!
岡山九番隊は、既に過去最大級の戦場・札幌へ。 置いていかれた羅夢多ですが、モモが用意した「強化物質」によって準備が整いました。
次回、第六話。お楽しみに!
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