令和鬼合戦:狂乱の求道者~鈴木一~
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七代前の九番隊隊長、鈴木 一。後の鉄斎。 最強を求め、戦いの中にしか生の充足を見出せなかった男の運命は、ある「異形」との出会いによって決定づけられました。
鬼は成人した姿で湧き出すもの。その常識を覆す「子供の鬼」との遭遇。 一が犯した禁忌と、自宅の地下に封じられた「秘密」とは。 羅夢多に繋がる、歪んだ血の系譜が明かされます。
「……はは、これだ。この手応えこそが、俺の生だ!」
返り血を浴び、白刃を振るう鈴木 一の瞳は、敵である鬼よりも爛々と輝いていた。
代々、岡山犬牙衆の要職を務める名門・鈴木家。一にとって、忍として鬼を狩ることは呼吸と同義であり、そこに一切の迷いはなかった。むしろ、平和な地上での生活は退屈な微睡みに過ぎず、地獄こそが己の命が最も鮮烈に燃え上がる場所だと確信していた。
当時、九番隊は「恒久討伐隊」として地獄に常駐し、無限に湧き出す鬼を間引く役割を担っていた。
今から百年ほど前、その戦略が無意味であるとされて任務が縮小された際、他の隊士たちは安堵したが、一だけは激しい憤りを感じていた。
「任務などどうでもいい。俺はただ、斬り合いたいだけだ」
一は強くなりすぎていた。通常の鬼では一太刀で終わる。物足りない。
もっと俺の五感を、魂を、極限まで焼き尽くしてくれるような「強者」はいないのか。 その渇望に突き動かされ、彼は部隊を離れ、独り地獄の未踏領域へと足を踏み入れた。
氷結地獄の最果て。魂脈が凍りつくような極寒の静寂の中で、一はその影を見つけた。 岩陰に座り込んでいたのは、十歳ほどの少年だった。
ぼろぼろだが、確かに人間の子供が着るような服を纏っている。しかし、その額の真ん中には、鋭く、禍々しい一本の角が突き出していた。
「……子供の、鬼だと?」
一は眉をひそめた。犬牙衆の記録において、鬼は「成長」などしない。大穴の底から、既に完成された殺戮個体として湧き出すのが理だ。
その時、周囲の闇から低級鬼の群れが牙を剥いて飛び出してきた。一は一瞥もせず、抜刀の一閃でそれらを一纏めに両断する。
だが、その瞬間に視た光景に、一は戦慄した。
鬼たちは一には襲いかかるが、その少年には一切手を出そうとしない。それどころか、少年の傍を通る際、距離を置いていた。
「……ほう。こいつ、鬼の子供か。それとも、鬼の『王』の種子か」
一の脳裏に、忍としては致命的な、しかし武人としては抗いがたい狂気が閃いた。
こいつを俺が育てれば……。
忍者としての教育を施し、同時に鬼としての力を引き出せば。
いつか、俺を満足させる、この世界の理を超越した「史上最強の敵」に成るのではないか。
「……ばかばかしい」
その時、一の目の前の空間が歪み、現世へと繋がる「門」が口を開けた。
場所は、岡山の山奥。偶然にも一の自宅から目と鼻の先の地点だった。
「これも天意か」
一は少年を小脇に抱え上げると、吸い込まれるように地上へ戻った。
深夜の鈴木邸。一は屋敷の地下深くにある、古くから伝わる堅牢な石造りの地下室へ少年を突き飛ばした。
「ここで待っていろ。貴様には、最高の『教育』を施してやる。俺を殺せるほどに強くなれ」
少年は無機質な瞳で一を見つめるだけで、叫びも抵抗もしなかった。
一は急いで大穴へ戻ると、自らの巨大な魂脈を楔として打ち込み、強引に門を閉ざした。地上に漏れ出た鬼がいないことを確認し、冷たく微笑む。
「……報告の必要はないな。俺が欲しているのは平和ではない。もっと強い鬼だ」
こうして、誰も知らない禁忌が始まった。
最強への期待に胸を躍らせていた。
第四十六話をお読みいただきありがとうございました!
鈴木一が地獄から持ち帰った「一本角の子供」。 この少年の正体こそが、後の「鬼人王」なのか、それとも……。 最強を求めた男の独善が、現代の羅夢多へと続く呪いの鎖となりました。
次回、お楽しみに!
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※AIとの共同執筆作品となります。




