令和鬼合戦:絶望を断つ漆黒~再来する深淵~
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修行を経てなお、五本角の白鬼が放つ「鬼魂脈」の一撃に沈んだ羅夢多。
理不尽な再生能力を前に、人類の希望は潰えたかに見えました。
しかし、戦場にはまだ「彼」がいます。
九番隊隊長・源 雲切。
白鬼が勝利を確信したように、折れたばかりの角をさらに輝かせ、黄金の鬼魂脈を噴出させた。
だが、その眼前に立つ源 雲切の姿は、もはや「実体」として認識することすら困難なほど、希薄な存在へと変貌していた。
「九十九、羅夢多を連れて早く離れろ!」
「……了解!」
九十九が羅夢多を担ぎ、必死の思いで『天照』の救護班へと運んでいく。その背後で、源が漆黒の太刀を静かに、だが確実に「正眼」に構えた。
「――空遁『虚空絶』」
源が踏み込んだ。
それは「速さ」という概念を超えていた。白鬼が迎撃のために金棒を振るうよりも早く、源は白鬼の巨躯を通り抜けていた。
遅れて、異変が起きた。
白鬼の肉体が「切られた」のではない。源が通り抜けた軌跡に沿って、白鬼の肉体が空間ごと削り取られ、消失していたのだ。
「……ア、アガ……ガ……ッ!?」
驚異的な再生能力が発動しようとする。しかし、再生すべき「土台となる空間」そのものが存在しないため、触手は行き場を失い、虚空を虚しく掻きむしるだけだった。
魂脈を負のエネルギー領域まで圧縮し、対象が占有する空間座標を一時的に無に帰す。
生物的な再生速度がいかに速かろうとも、存在の定義域が失われれば修復は不可能となる。
「再生には時間がかかる。だが、消滅には一瞬もいらん」
源が再び太刀を閃かせる。縦、横、斜め。
漆黒の閃光が走るたび、白鬼の白い肉体はブロックを切り抜くように虚空へと消え、その叫び声さえも、声帯を失うことで無音へと変わっていった。
最後の一閃が、五本の角を全て捉えた。
パキィィィィィィン!!
黄金の輝きを放っていた角が砕け散ると同時に、白鬼の肉体は塵一つ残さず、地獄の焦土から完全に消滅した。
白鬼が消えた瞬間、耳鳴りのような静寂が戦場を包んだ。
白鬼が塵となって消えた焦土。源が刀を収めてもなお、地獄富士の裏側に『大穴』が戻る気配はなかった。
「……大穴は消えたままだ」
九十九が弾かれたように動き、羅夢多の体を重力で抱え上げた。
天照のハッチが開き、救護班が甲板へ駆け出す。運び込まれた羅夢多の体は冷たく、生命の灯は消え入りそうなほどに弱まっていた。
要塞内の医療区画では、治療部隊による必死の蘇生が続いていた。
「内臓の破裂がひどすぎるわ……。魂脈の循環が、物理的な損傷に追いついていない!」
モモがモニターを見つめ、声を震わせる。
修行を経て強化されたはずの羅夢多の肉体をもってしても、あの「鬼魂脈」の一撃は致命的だった。通常の治癒忍術や再生薬では、破壊の速度を上回ることができない。
「……これを使うしかないわね」
モモが取り出したのは、源の攻撃の直後、回収ドローンが辛うじて採取していた『白鬼の血液』だった。
「モモ、正気か!? 鬼の血なんて飲ませたら、羅夢多が鬼になっちまうぞ!」
傍らで見守る九十九が叫ぶ。
「ただの血じゃないわ。この鬼の再生能力を逆用するの。鬼魂脈の波動を、羅夢多の魂脈に合わせて反転・変換させる!」
モモはコンソールを叩き、血液サンプルを高速遠心分離器にかける。
彼女が試みているのは、異質なエネルギーを適合可能な形へ再構築する超高度な錬金術だった。
鬼脈のエネルギー密度を、魂脈の周波数に同期させる。変換効率を最大化する。これにより、破壊的な性質を「超再生」のエネルギーへと置換する。
精製された液体は、透き通った琥珀色に輝いていた。
モモはそれを躊躇なく、点滴ラインを通じて羅夢多の体内へと流し込み、さらに直接その口に含ませた。
効果は劇的だった。
琥珀色の液体が体内に回ると同時に、羅夢多の肉体がボコボコと音を立てて波打った。
陥没していた脇腹が瞬く間に盛り上がり、粉々だった肋骨が接合される。内臓の損傷も、まるで時間を巻き戻したかのように再生し、肌の血色が戻っていく。
「……傷が、消えていく……」
九十九が息を呑む。
しかし、肉体が完璧に修復された後も、羅夢多が目を開けることはなかった。
脳波計は一定のリズムを刻んでいるが、それは深い、あまりにも深い眠り――「微睡」の中にいることを示していた。
「身体は治った。でも、意識が戻らない……。鬼の血と羅夢多の魂脈が、精神の底で激しく拒絶反応を起こしているのかもしれないわ」
静まり返る医療室。
外では、消失したままの大穴を前に、要塞『天照』が立ち往生していた。
羅夢多の覚醒が先か、あるいは地獄の底から新たな絶望が這い上がってくるのが先か。
岡山犬牙衆は、かつてない静かな窮地に立たされていた。
第三十七話をお読みいただきありがとうございました!
最強の忍・源の「空間そのものを消す」という人智を超えた忍術により、白鬼を完全に沈めました。
怪我を負った羅夢多と、それを背負う決意をした九十九。二人の絆が試されます。
次回、第三十八話。お楽しみに!
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※AIとの共同執筆作品となります。




