令和鬼合戦:深淵の門~日輪の先遣~
興味をもっていただきありがとうございます。
藤林隊長の苛烈な修行と、旧拠点『天凧』のパーツを用いた修復を経て、移動要塞『天照』は真の完成を見ました。
今回の目的は、人類未踏の領域――『無間地獄』の徹底調査。
絶望の穴へと飛び込む前に、藤林が地獄の深淵へ向けて「日輪の挨拶」を叩き込みます。
地獄富士の背後、黒い瘴気が渦巻く巨大な垂直の穴。その縁に、修復を終えた『天照』が静かに静止していた。
「準備はいいわね。今回の調査の要、無間専用ドローン『真眼・極』展開するわよ!」
モモがコンソールを叩くと、格納庫から二機の特殊ドローンが姿を現した。
一機は、あらゆる障害物を回避しつつ最深部を目指す「完全自動型」。
もう一機は、微細な操作を必要とする調査のための「手動操作型」だ。
「まずは自動型を落として、大穴の深度と構造を計測する。……でも、その前に」
モモが視線を向けた先。天照の甲板先端には、八番隊隊長・藤林が立っていた。
修行を終えた羅夢多と九十九も、その背中を緊張の面持ちで見守っている。
「……これから飛び込む穴だ。軽く掃除が必要だな」
藤林がゆっくりと印を組む。
その魂脈の密度は、修行前とは比較にならないほど高く、周囲の空間が熱でねじ切れんばかりに歪んでいた。
「――陽遁・『千鴉極光』!!」
藤林が両手を突き出すと同時に、大穴の真上に極太の黒い光の柱が放たれた。よく見ると光の柱の中に黒く光るカラスが穴の底めがけてすさまじい速さで飛んでいる。
それは以前の『恒星天墜』とは違い、横方向への拡散を抑え、縦方向への「貫通力」を極限まで高めた超高密度プラズマだ。
ドォォォォォォォォン!!
暗黒の穴を、黒い光が真っ直ぐに貫いていく。
穴の壁面に潜んでいた新種の鬼たちが、悲鳴を上げる間もなく蒸発し、渦巻いていた瘴気が一瞬で晴らされた。
光の柱は数千メートル下の底に到達したのか、遠くの方で地響きのような震動が天照まで伝わってくる。
「……よし。通り道は作った。モモ、ドローンを放て」
「は、はい! ……自動型、投下!!」
自動型ドローンが光の柱を追いかけるように大穴へと急降下していく。天照のモニターには、流れる壁面の映像が映し出されていた。
しかし、深度三千メートル付近で、映像が突如として静止した。
穴の途中で動かなくなった映像が流れる。動くと引き戻されている。何かに引っかかっているのだろうか、穴の中心には何もない。
「えっ……? 止まった? 何かに引っかかったみたい」
モモが操作パネルを叩き、カメラの感度を最大に上げる。
そこに映し出されていたのは、藤林の放った熱線に焼かれ、爛れた壁面……そして、そこに張り巡らされた「透明な糸の結界」だった。
その糸の中心から、不気味な影がゆっくりと這い出してきた。
「……あいつ、まさか!?」
羅夢多が叫ぶ。
全長十メートル。漆黒の皮膚を纏い、頭部には王冠のように十本の角が突き出ている。胴体からは節くれだった無数の腕が生え、それらが意思を持つ蛇のように蠢く――以前遭遇した、あの「新種の鬼」だった。
藤林の『千鴉極光』が直撃したのか、全身の皮膚は焼け焦げ、数本の腕は炭化して欠け落ちている。だが、その十本の角からは、依然として強大な鬼脈とも魂脈とも言えないエネルギーが噴き出していた。
「……ス……ゴ……イ……コ……ウ……ゲ……キ……ダ……ッ……タ」
ノイズ混じりの念話が、天照の通信系をジャックするように響き渡る。
「……ダ……ガ……コ……コ……ハ……ト……オ……サ……ナ……イ」
次の瞬間、無数の腕がドローンを捕らえた。
抵抗する間もなく、最新鋭の調査機は「バキッ」という虚しい音とともに粉砕され、映像は砂嵐へと変わった。
「……ふん。あの熱線を食らって、糸の結界で凌ぎきったか」
藤林の口角が、わずかに吊り上がった。それは怒りではなく、獲物を見つけた狩人の悦びに似ていた。
彼は再び両手を前に突き出す。先ほどの攻撃よりもさらに高く、重厚な魂脈の唸りが要塞全体を震わせる。
「……これが、『火遁』の真髄だ」
藤林の周囲に、九つの小さな火球が出現した。それはそれぞれが「恒星」のごとき質量と熱量を宿し、猛烈な勢いで回転を始める。
「――陽遁『恒星連鎖・九獄葬』!!」
一度は「掃除」で済ませようとした男の眼に、本気の殺意が宿る。
再び暗黒へと沈もうとしていた大穴が、一瞬にして地上の太陽をも凌駕する紅蓮の光に飲み込まれた。
第三十四話をお読みいただきありがとうございました!
藤林隊長の「挨拶」代わりの一撃が、暗黒の穴を貫きました。
予備知識ゼロの突入から、ドローンによる先遣調査という「戦略的進軍」への変化は、羅夢多たちの成長の証でもあります。
次回、第三十五話。お楽しみに!
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※AIとの共同執筆作品となります。




