令和鬼合戦:要塞抜錨~天照昇天~
興味をもっていただきありがとうございます。
ついに地獄攻略の「要」が動き出します。 これまで四人がかりでようやく浮上させていた移動拠点『天凧』。その限界を超え総力を挙げて建造したのが、巨大移動要塞『天照』です。
組み立て、搬入、そして起動。 地獄という極限環境下で繰り広げられる人類の希望を空へと押し上げます。
岡山基地の巨大地下ドック。そこには、モジュールごとに分解された『天凧二号機・天照』の巨躯が、整然と並べられていた。
「いい? 門の幅は五メートル強。この隙間に全パーツを運び込み、地獄(向こう側)で三十分以内に組み立てるわよ!」
モモの鋭い号令が響く。今回の作戦は、完成品を飛ばすのではない。地上の門のサイズに合わせて設計されたパーツを、地獄の猛火の中で組み上げるという強行軍だった。
「タイム計測終了! 三十二分十四秒……三十分まであと少しよ!!」
モモの声が響き渡った。
雉翼衆五十名が、実物大のモックアップを前に滝のような汗を流している。彼らが行っているのは、移動要塞『天照』を地獄の門の先で組み立てる超高速設営の訓練だ。
この作戦は、天照の運搬を考えて、岡山基地より五百km圏内でしか実行できない。文字通り、地上の本拠地と地獄を直結させる「命懸けの架け橋」だった。
「地獄の環境下では練習よりも時間がかかるはずよ!水遁と土遁の足場形成もう少し早くおねがい!」
羅夢多と九十九は、その光景を静かな緊張感で見守っていた。三十分。それが、地獄の猛火の中で防衛線を維持できる限界点だった。
一週間後。訓練は「実戦」へと切り替わった。
福岡県背振山のふもとに五メートル程の門が出現、岡山基地の犬牙衆五から十番隊までと雉翼衆五十名が資材と共に特殊輸送機で出動、三十分ほどで門上空に到着。門が開き、赤黒い熱気が漏れ出している。
人桃衆や福岡犬牙衆が鬼と交戦している。
「作戦開始! 」
合図とともに、雉翼衆が犬牙衆を抱えて輸送機から飛び降りる。
雉翼衆は大人一人なら抱えて飛ぶことができるがこの男には必要なかった。岡山犬牙衆八番隊隊長・藤林 兆計が最初に門に飛び込むと『土遁・流塵縛』で広範囲の鬼の一掃と地盤をある程度作り変える。
直後に雉翼衆に抱えられた犬牙衆が落下の速度を利用して飛び込んでくる。
彼らは門を抜けると同時に、即座に円陣を組んで周囲の警戒に当たる。
続いて雉翼衆の術者たちが詠唱を開始した。
「『水遁・沸冷の術』!」
「『土遁・硬化地殻』!」
マグマが渦巻く灼熱の地に、大量の冷却水が注ぎ込まれ、瞬時に土遁で成形される。赤黒い大地の上に、直径百メートルを超える臨時ドック(足場)が、わずか数分で完成した。
輸送機には、九十九と資材だけが残っていた。
飛行機はゲートを開けたまま急上昇し資材を九十九と共に落下させた。
「『土遁・反重力場』!!」
資材はゆっくりと落下し門の前に来ると空中で止まった。
九十九が中に入ると大量の資材は、まるで意思があるかのように後について行った。
「パーツ搬入! 組み立て開始!!」
門を通り抜けるサイズに分割された『天照』の骨格が、人力で次々と組み立てられる。周囲では犬牙衆が、音を聞きつけて集まってきた鬼たちを一蹴し、安全圏を死守していた。
「……二十八分経過! 外殻閉鎖、上げるわよ!!」
モモの報告と同時に、巨大な鉄の塊が一つに繋がった。
これまでの天凧は四人の術者がかりで浮かせていたが、この『天照』は最新の効率化により、運用人数をわずか八人にまで削減することに成功していた。
四倍以上の大きさと重量を考えればいかに効率的かわかるだろう。
「九十九、上げるわよ!」
「ああ……。――『土遁・反重力場』!!」
要塞の中央、九十九の魂脈が増幅される。
天照の巨躯が、物理法則を無視してゆっくりと浮上した。地獄の空に人類の新たな牙が産声を上げた瞬間だった。
浮上した天照は、九十九の重力制御に導かれ長年守り抜いた旧拠点『天凧』へと急行した。
天照のハッチが開き、天凧に備蓄されていた食料、予備機材、そして膨大な調査データが、まるで吸い込まれるように最新鋭機へと移送されていく。
「移送完了! 全員、天照へ乗り込め!」
全ての荷が移された瞬間、天凧を支えていた術者たちが魂脈を絶った。
役目を終えた人類最初の足場は、重力から解放されゆっくりと紅蓮のマグマへと沈んでいった。
ドォォォォン……!
旧き翼の最期を見届け、羅夢多が天照の舳先に立つ。
「……お疲れ様、天凧」
神の名を冠した不沈の要塞が、ついに最深部への本格調査を開始した。
第二十八話をお読みいただきありがとうございました!
地獄での強行組み立て作戦。 水遁と土遁による足場作りから、九十九の重力による浮上まで。 旧拠点『天凧』から『天照』への魂の継承は、人類が「防衛」から「攻略」へと舵を切った証でもあります。
次回、第二十九話。 お楽しみに!
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※AIとの共同執筆作品となります。




