令和鬼合戦:人桃の猟犬~歪なる進化~
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研究所の最深部で暴かれた禁忌の実験。 驚愕する羅夢多たちの前に立ちはだかったのは、感情を排し、効率のみを追求した人桃衆の「猟犬」たちでした。
「誰だ、そこにいるのは」
凍てつくような声と共に、廊下の影から四人の男たちが現れた。
一人が小柄で三人が二メートルを超える巨躯。しかし、その顔は生気がなく、瞳には鬼特有のドス黒い輝きが混ざっている。しかし彼らからは「魂脈」が立ち上っていた。
「……殺さないように制圧するんだ!」
九十九が顔をしかめ、印を組む。
シュッ――!!
返答はなかった。巨漢たちが、その巨体に似つかわしくない超高速の踏み込みで襲いかかってくる。
「モモ、下がってろ! ……鳴釜・一式『響震』!!」
羅夢多が拳を繰り出す。高周波振動を纏った拳が空気を震わせる。
羅夢多の拳は人桃衆の刀を砕き腹部にめり込んだ。
「ガ、ア……」
刀を砕かれた巨漢が、羅夢多の胸倉を掴もうと腕を伸ばす。
「――無駄だ。『土遁・重圧連陣』!」
九十九の重力波が巨漢を地面に叩きつける。だが、驚くべきことに、その巨漢は体中から音を立てながらも、痛みを感じていないかのように無表情で立ち上がろうとした。
「動ける?……痛みを感じないのか?」
無機質な戦いが続く中、奥の扉が静かに開いた。
現れたのは、巨漢たちとは対照的な、一メートル六十センチほどの小柄な男だった。顔には狐の面を模したマスクをつけ、整った仕草で二人を見下ろす。
「……岡山犬牙衆の精鋭。地獄からの帰還者か。君たち研究に協力してくれれば、実験はさらに加速しただろうに」
男が指をパチンと鳴らすと、巨漢たちの魂脈が急激に膨れ上がった。
「何があっても人類を護る……それが我ら人桃衆の使命だ」
「……ふざけるな!」
羅夢多の怒りに呼応し、『鬼火装』が蒼白く燃え上がる。
「九十九……こいつら、手加減なしで行くぞ」
「ああ……。この胸クソ悪い施設ごと、叩き潰してやるよ」
二人は同時に『吉備団子』を一粒、口に含んだ。
身体強度が跳ね上がる羅夢多。空間の解像度が極限まで高まる九十九。
「人工の進化」と「練磨の極致」。禁忌の研究所を舞台に生存を賭けた激闘が幕を開けた。
「やめろ、それ以上の争いは無用だ」
低く、だが深く響く声が、重力と鬼火で歪みかけた大気を切り裂いた。
奥の扉から現れたのは、顔中を無数の傷跡に覆われ、白衣を纏った小柄な老人だった。その眼光は鋭く、羅夢多たちが纏う魂脈を冷静に観察している。
「侵入者というから来てみたが……特務忍群の若造か……」
「あんた、何者だ。ここで何をしてる」
羅夢多が刀を構えたまま問い詰める。老人は動じることなく、周囲の巨漢たちに下がるよう手で合図した。
「わしはこの研究所の責任者だ。安心しろ、これは特務忍群や政府から正式に許可を得ている実験だ。疑うなら総大将、尾上鉄山に直接聞いてみるがいい」
「なんだって」
唖然とする三人。
老人は自らを「この場所の守り人」と称した。かつては人道を無視した凄惨な実験が行われていたが、彼が責任者となってからは非人道的な行為は禁じているという。
「……ついてこい。実験室の中を見せてやる。お前たちが抱いている疑念に答えてやろう」
老人の案内に従い、三人はカプセルが並ぶ広大なホールを歩いた。
「そこにいる隊員たちは、二十年以上前の実験で産まれた鬼と人の混血児……その生き残りだ。強化剤が鬼の血液から作られているのは知っているな? 人桃衆はその『先』を求めた結果だ」
老人が語る「人桃衆」の存在意義。それは、あまりにも合理的な悲劇だった。
人桃衆とは~
地獄の門が開いた際、最初に対応するのは常に人桃衆。門が巨大であればあるほど、忍が到着するまでの間に膨大な犠牲者が出る。
忍者は適性が少なく、絶対数が足りない。鬼と互角以上に戦い、門を封鎖するまでの時間を稼ぐ「量産可能な戦力」が必要だった。
隊長や副隊長は、魂脈を制御できる「忍者」。だが隊員は強化された「人間」で構成されているが多くは知能が低く命令の理解が困難な個体も多い。
「彼らがいなければ、地上の被害は今の数十倍、数百倍になっていただろう。これは、鬼を野放しにしないための必要悪なのだ」
モモが震える声で尋ねた。
「……それでも、こんなこと、あっていいはずがないわ」
「そうだな。わしもそう思う。だが、この世界は綺麗事だけでは守れんのだよ」
老人は不意に足を止め、九十九を真っ直ぐに見つめた。その傷だらけの顔に、微かな悲しみが過る。
「……九十九、お前は覚えていないだろうが、お前はこの研究所の出身だ」
「……何、だと?」
「特務忍群の隊員には少なからずいるぞ」
九十九の表情が凍りつく。彼の魂脈が動揺のために乱れ霧散した。
「お前は、実験の中で高い知能とけた外れの魂脈で産まれた最高傑作だ。組織が親を見つけお前を子供の時から特別な訓練をさせて忍者学校へ送った。お前の才能が鬼の殲滅に役に立つ日が来ることを祈っていた」
九十九の手が、激しく震え始める。
自分が信じていた自らの「忍術」が、この施設から産み落とされたという事実。羅夢多は九十九の肩を強く掴んだが、彼にかける言葉を見つけることができなかった。
「……俺は、人間じゃ……なかったのか?」
「完全な人間だ。実験から生まれたというだけだ」
静寂が支配する研究所に、九十九の絞り出すような声が空虚に響いた。
第二十六話をお読みいただきありがとうございました!
人桃衆の戦闘員たちの不気味な強さと、それを統べる小柄な「隊長」の登場。 感情を持たず、ただ効率的に標的を排除しようとする彼らに対し、羅夢多と九十九が吉備団子の力を解放します。
次回、第二十七話。 「お楽しみに!
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※AIとの共同執筆作品となります。




