令和鬼合戦:不可視の重圧~古の引力~
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羅夢多が沖縄で父・雷電から『鳴釜』を授かっていた頃、ライバル・九十九もまた、己の限界を超えるための荒行に身を投じていました。
自らの「重力」。 岡山基地の深部で見つかった古の資料と、師・藤林との対峙を通じて、九十九は禁忌の術へと手を伸ばします。
岡山基地、地下二十階・特別演習場。そこは外部から完全に遮断された無機質なコンクリートの空間だった。
「……ようやく、静かになったな」
九十九薫は、額の汗を拭いながら独りごちた。
地獄の半年間、彼は常に羅夢多と共にいた。羅夢多の成長は心強かった。
だが、繊細な魂脈操作を必要とする九十九の「重力」にとってノイズ以外の何物でもなかったのだ。
「集中しろ、九十九。お前の術は、力任せに振るう忍術ではない」
背後から声をかけたのは、岡山犬牙衆・八番隊隊長 藤林兆計だった。彼の前には組織の書庫から発掘された黄ばんだ一巻の古文書が広げられている。
「九十九これを見ろ。かつて、お前と同じように『重力』を操った忍の記録だ」
そこには、江戸時代以前のものと思われるおどろおどろしい図解が並んでいた。
当時の忍の世界には「重力」という物理学的概念は存在しない。そのため、術の解説は極めて抽象的だった。
記述:『圧神の社』 「地の神を呼び込み万物を平伏させる」
記述:『空の澱み(そらのよどみ)』 「一点に万象を集め無へと帰す。ただし、術者自らも社の一部となれば魂ごと押し潰されるであろう」
「……『空の澱み』要するに、重力の塊を一点に生成し周囲の全てを吸い込む技か」
九十九は現代の物理知識でその古の術を翻訳していった。
「藤林さんやってみる。……」
九十九が両手を前方に突き出し魂脈を極限まで一点に集中させる。
周囲の空気が、ミシミシと悲鳴を上げ始めた。
「――『土遁・黒天球』!!」
二人の前方数メートルに、直径十センチほどの「漆黒の球体」が浮かび上がった。
それは光さえも屈折させるほどの超高密度重力体。
演習場の床が剥がれ、コンクリートの破片が猛烈な勢いで黒い球体へと吸い込まれ一瞬で粉砕されていく。
「九十九、引力が強すぎる! 抑えろ、自分まで持っていかれるぞ!!」
藤林の警告通り、術者である九十九の体までもが自ら生み出した黒い球体へと引きずられ始めた。
重力は全方位に働く。敵を吸い込むということは、術者自身も死の領域へ引きずり込む諸刃の剣なのだ。
「……くっ、あああああ!!」
九十九は全身の毛穴から血を噴き出すような負荷に耐えながら強引に魂脈を逆流させ、術を霧散させた。
ドサリ、と床に膝をつく。
「……はぁ、はぁ……。危ねえ、死ぬかと思った……」
「だが、手応えはあったはずだ。九十九、お前はこの術を完成させねばならん」
「……ああ。羅夢多に負けるわけにはいかない。……もう一度だ、藤林さん!」
修羅の如き羅夢多に並び立つため。
九十九は、自らをも飲み込みかねない「黒い太陽」の制御に、再び挑み始めた。
第二十二話をお読みいただきありがとうございました!
九十九の「重力」進化の物語。古の忍が『空の澱み』と呼んだ現象を、現代の忍・九十九が最強の捕獲術『黒天球』へと昇華させていきます。自分すら飲み込む危険な術。
次回、第二十三話。お楽しみに!
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※AIとの共同執筆作品となります。




