令和鬼合戦:無間の深淵~要塞化計画~
興味をもっていただきありがとうございます。
岡山基地・最高戦略会議室。 羅夢多たちが地獄から持ち帰った戦果と情報は、三公をはじめとする組織幹部たちを驚愕させるに十分なものでした。
今回は、地獄の真の構造に対する考察と人類が地獄を制圧するための物語の転換点です。
岡山基地、地下深くの最高戦略会議室。重厚な防音扉に閉ざされた室内には、冷徹な青白いホログラムが浮遊していた。
中央のテーブルには昨日持ち帰られたばかりのS級個体三体の角が不気味な光を放ちながら鎮座している。
「……新種か……」
犬牙衆総大将、尾上 鉄山が羅夢多の顔の傷と戦利品を交互に見つめ低く呟いた。
岡山雉翼衆3番隊隊長・柳 真一は立ち上がり地獄で記録した僅かな映像データを再生させた。そこに映っていたのはかつての「獣」のような鬼ではない。整然とした立ち振る舞い、そして意思の宿った瞳を持つ「新種」の姿だった。
「奴らは、我々忍の魂脈と、彼らの鬼脈を内側から融合させた様な奇妙なエネルギーを操ります。北条結衣が感じ取った通り、それは『混ざり合った』という言葉が一番しっくりくる。奴らは会話を交わし戦術を組み、我々の隙を突いてきます」
さらに、地獄の勢力分布について衝撃的な仮説を述べた。
「我々が調査した『大灼熱地獄』の鬼たちは、その領域を頑なに離れようとしません。まるで、それ以上の深部へ踏み込ませないための『番犬』なのか離れれば死んでしまうのか。……そして『鬼神王』は、灼熱にも氷結にもいないのではないでしょうか」
「……ならば、どこにいるというのだ」
ホログラムの最深部、氷結地獄の底にある「大穴」を指差した。
「氷結地獄で見つかった大穴。新しい領域――『無間地獄』。すべてはそこから始まっていると考えられます」
会議の話題は、喫緊の課題である「地獄の調査継続」へと移った。ここで、上忍となった大ノ木 モモが苦渋の表情でデータを提示した。
「羅夢多たちがいた半年間で高精度調査ドローンはすべて墜落いたしました。計百二十機……また送り込まなければなりません」
ドローンという「目」を失ったことは、忍組織にとって致命的だった。
地獄の過酷な磁場、そして新種の鬼による組織的な妨害。
何より、地上の門が閉じるたびに補給が断たれメンテナンスもままならない現状が機械の墓場を作り出していたのだ。
「今の『天凧』は、あくまで一時的な休憩を取る場所に過ぎません。これでは無間地獄の入り口まで辿り着く前に物資も兵器も尽きてしまう」
モモは、徹夜で書き上げた新たな設計図を広げた。
「そこで提案します。地獄に『恒久的な前線要塞』を建設する――『天凧二号計画』です」
一号機の数倍の規模を誇る巨大な浮遊構造体。そこには、ドローンの修理デッキ、食料・飲料水の長期備蓄庫、そして鬼の遺体の保管庫を完備させるという。
「これを地獄の戦略拠点とし無間地獄へ至るための『不沈の空母』とする。継続的な調査と調査できていない場所への調査をするための前線基地となります!」
天凧二号――それは、人類が地獄の未踏の地を「攻略」するための最大の切り札だった。
会議室の空気が攻略への希望へと移り変わった。
第二十話をお読みいただきありがとうございました!
「無間地獄」の特定、そして「天凧二号計画」。 人類が地獄へ攻め込むための戦略が、羅夢多たちの帰還によって動き出しました。
次回、第二十一話。お楽しみに!
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