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令和鬼合戦:重力の咆哮~軍団を統べる者~

興味をもっていただきありがとうございます。

灼熱地獄での過酷な修行中。別任務から一時休息のために『天凧あまだこ』へと戻ってきた九十九つくもは、羅夢多らむだと再会します。


 灼熱地獄の熱風を切り裂き、九十九つくもが帰還した。

彼は喉を鳴らして水を飲み干すと、甲板で瞑想する羅夢多に声をかけようとした。だが、その背中を見ただけで、九十九の全身に鳥肌が立った。


「……羅夢多か?」


 羅夢多がゆっくりと振り返る。

九十九は、思わず息を呑んだ。羅夢多の顔には今まで乗り越えた死線の数と比例するかのように無数の鋭い傷跡が刻まれていた。それは単なる負傷の跡ではない。幾つもの修羅場を潜り抜けた者だけが纏う剥き出しの「凄み」そのものだった。


「九十九。……久しぶりだな!」


 さらに驚愕すべきは、その魂脈こんみゃくだ。

以前の羅夢多の魂脈は、熱く真っ直ぐな火のようだった。しかし今のそれは周囲の熱気さえも重圧に変えて押し潰すような波動へと変貌していた。


「……お前、その顔……」

「……かっこいいだろ!」


 羅夢多が立ち上がると蒼白い『鬼火装』が呼応して静かに激しく揺らめいた。九十九は圧倒されながらも不敵な笑みを浮かべた。


「……面白い。その成長、実戦で確かめさせてもらうぞ」


 二人は天凧から降り溶岩が川を成す最前線へと着地した。現れたのは、灼熱地獄の原生種、炎魔鬼えんまきの群れだ。


「はあああぁぁッ!!」


 羅夢多が動く。その初速は、九十九の視力でも捉えきれない。蒼白い雷火が走ったかと思うと、一瞬で炎魔鬼の巨体が内側から粉砕され、火花となって霧散する。以前のような無駄な動きは一切ない。最小限の予備動作で「死」を届ける、洗練された破壊。


「……なら、俺も隠し事はなしだ!」

 九十九が両手を広げ掌を垂直に大地へと向けた。滅多に見せることがなかった九十九の真なる忍術が解放される。

「――伏せ。『土遁・地縛陣じばくじん』」


 ドォォォォォン!!


 九十九を中心に凄まじい「重圧」が吹き荒れた。襲いかかろうとした鬼たちが、まるで見えない巨大な巨人に踏みつけられたかのように地面へめり込み、その硬質な皮膚がミシミシと砕け散る。


「すげえ!」

「重力を操り空間そのものを圧殺する。……羅夢多、動けない奴らを一気に片付けるぞ!」


 羅夢多の圧倒的な「フィジカル」と、九十九の絶対的な「忍術」。

地上の忍法帖には載ることのない異次元の連携が地獄の原生種を蹂躙した。


 特訓の終わりを告げる頃、戦場に一人の男が静かに現れた。

真一やなぎ・しんいち

彼は自らの指を切り、滴る血を動けなくなっている炎魔鬼の口にねじ込んだ。


「……グゥ、ガアッ……!」


 血を飲んだ鬼の瞳がドス黒く染まり、柳の足元で従順な犬のように跪く。

それこそが、彼の呪術――『血呪傀儡けつじゅくぐつ』。


「私の血を飲ませることで鬼を完全に支配する。……現在、私の軍団には百匹ほどの鬼がいるよ。探索、哨戒、そして狩り……彼らは優秀な駒だ」


 柳の周囲には、すでに支配下にある鬼たちが軍団を成しあちこちで探索している。


「羅夢多、九十九。協力してくれ。軍団をさらに強固にするために、より強力な『鬼』が必要なんだ」


 柳は地獄のさらに深層を指差した。


「あそこに潜む大型個体を捕獲したい。君たちが追い詰め私が血を飲ませる。」


 羅夢多は、傷跡の刻まれた顔に獰猛な笑みを浮かべた。


「鬼を利用して軍団を作る……。すごい術ですね」


 進化した黒鬼への対抗手段。彼らは自らの牙を研ぐだけでなく、地獄の軍勢さえもその傘下に収めるべく、新たな共同戦線へと踏み出した。


第十五話をお読みいただきありがとうございました!

羅夢多の変貌に驚く九十九、そして二人の「重力×鬼火装」の圧倒的な戦闘。さらに、柳真一の術『血呪傀儡』が登場します。

次回、第十六話。 鬼の捕獲に挑みます!

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