令和鬼合戦:氷獄の南門~天凧への疾走~
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黒鬼という「底知れぬ恐怖」を背に、一行は氷結地獄からの脱出を図ります。 しかし、地獄の最深部は彼らを容易には戻せません。
「……ぐ、ああぁぁ……ッ!!」
龍の頭上で、響 弦が叫ぶ。
一行を乗せた龍は氷結地獄を一路「南」へと突き進んでいた。だが、行く手には天を突くような氷の断崖が迷路のように立ちはだかり、彼らの直進を幾度も拒む。
「弦! まだか!?」
「……ダメです、正面に巨大な鬼脈の塊! 青鬼の精鋭軍団です! 回り道してください、右です、右の氷峡へ!」
響の指示に従い、岡山犬牙衆 八番隊隊長 藤林 兆計が龍の手綱を捌く。
急旋回する龍の背で、相田 謙心や戌亥 遼たちが、次々と襲い来る青鬼を迎撃する。ただでさえ消耗した一行の体力を確実に削っていく。
回り道を余儀なくされるたびに、時間は無情に過ぎていった。
杉山 白梅が展開する『空遁・大気牢閣』も、外部からの絶え間ない冷気圧と鬼たちの攻撃によってその壁が崩壊し始めている。
どのくらいの時間がたっただろうか。
「……見えた。あれだわ」
北条が白濁した吹雪の先を指差した。そこには、地獄の空に浮かぶ巨大な構造体――『天凧』が、猛烈な風に煽られながらも毅然と浮かんでいた。地獄で唯一の安全地帯。
「全速力で突っ込むわよ! 藤林!!」
「……手荒いですね」
藤林が龍の速度を極限まで引き上げる。
龍は最後の鬼の群れを体当たりで粉砕しながら天凧へと高く飛びあがった。
視界が真っ白に染まり、次の瞬間。
一行を包んだのは、極寒の吹雪ではなく「温かい」空気だった。
「……あ、あつい……」
北条 結衣が、自らの腕を抱えながら呟いた。
灼熱地獄に浮かぶ天凧、上空はそれほど熱くはない。ただ、氷結地獄を抜けた彼らには熱帯の熱気のようにさえ感じられた。
「……ふっ、まさか。『灼熱地獄』が心地よく感じるとはな……」
相田謙心が自嘲気味に笑った。
その顔は寒さで青白くなっているが生き延びたという実感がようやく彼らの心に灯をともしていた。
だが、その安堵の中で羅夢多は厳しい表情を崩さなかった。
あの黒鬼が放ったプレッシャーの感触。
人間と鬼が混ざり合い進化を遂げたというあの「種」の存在。
「……源隊長。まだ、終わっていませんね」
銀髪を乱した源 雲切が無言で頷いた。
門は閉じた。しかし、開かれたのは「種」の進化というさらなる地獄の幕開けだった。
第十三話をお読みいただきありがとうございました!
氷結地獄からの決死の南下、そして天凧による帰還。 灼熱地獄すら心地よく感じるという、氷結地獄の過酷さが伝われば幸いです。
次回、第十四話。 次なる一手へと動き出します。
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※AIとの共同執筆作品となります。




