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令和鬼合戦:超克の深淵、進化の産声

興味をもっていただきありがとうございます。

一行の前に現れたのは、これまでの地獄の常識を根底から覆す「存在」でした。

十本の角、無数の腕、そして「言葉」を解する異形の鬼。抜刀の機を失うほどの圧倒的なプレッシャー。 氷結地獄の底で、物語は戦いから「対話」という名の未知の恐怖へと変貌します。

 静寂が戻ったはずの大穴。そこから吹き出す冷気を押し退けるようにして「それ」が浮上してきた。

 全長十メートル。漆黒の皮膚を纏い、頭部には王冠のように十本の角が突き出ている。胴体からは節くれだった無数の腕が生え、それらが不気味に蠢く。

飛翔能力を持つ鬼など存在しないはずのこの氷結地獄で、その黒鬼は重力を嘲笑うかのように穴の中央で悠然と宙に浮いていた。


「――ヨクヤッタ」


 地響きのような、だが明確な意志を持った音が響いた。


「……喋った……!?」


杉山 白梅すぎやま・はくばいが、信じられないものを見るように目を見開いた。


「コンカイノモンハ、トジル……コトガ……デキナイト……オモッテイタ」


 黒鬼の瞳は、知性の光を湛えて一行を見下ろしている。


「……我々が、貴様の予想以上に強かったということか」


雲切みなもと・くもきりが刀の柄を握りしめた。これまでの鬼とは「質」が違う。立っているだけで神経が焼き切られそうな圧迫感だ。


「ソウダナ……エスキュウ……キュウジュウキュウタイ……イタ」

「九十九体だと……!?」


相田 謙心あいだ・けんしんが息を呑む。地上の都市を滅ぼしかねないS級個体が、これほどまでに投入されていたのか。


「ワレラガ……イタラ……モンハトジレナイ……ダロウ」

「すごい自信だな……」


相田は虚勢を張って言い返したが、誰も後に続かなかった。源ですら襲いかかる隙を見つけられない。もし今、この黒鬼が指先一つ動かせば自分たちは塵になる。生存本能がそう告げていた。


「貴様は何者だ? ただの鬼ではあるまい」


白梅が、絞り出すような声で問う。


「オニ……デハナイ」

「鬼じゃない?」

「ソウダ……ニンゲン二……イロイロ……オソワッタ」

「……何だと? 捕虜がいるのか!」


相田が声を荒げた。だが、黒鬼は静かに頭を振った。


「チガウ……」


 その言葉の真意を問おうとした瞬間、黒鬼の纏うプレッシャーが霧散した。


「ツカレタナ……ホメニキタダケダ……イマハミノガシテヤル」


 漆黒の巨体は、そのまま吸い込まれるように大穴の闇の中へと消えていった。

後に残されたのは、凍てついた空気と精鋭たちの静寂だけだった。

 今勝負をしていたら、おそらく負けていた。

最強の源雲切が動くことすらできなかったのだ。その事実が一行の心に氷よりも冷たい恐怖を植え付けた。


「……っ、はぁ、はぁっ……!」


 北条 結衣ほうじょう・ゆいが、その場に力なくへたり込んだ。防護結界の地面に手をつき、激しく肩を揺らしている。


「北条、大丈夫か」


相田謙心が駆け寄るが彼女は首を振って穴の底を指差した。


「……あれは、鬼じゃない。……」


北条の声は震えていた。彼女は九番隊の中でも鬼の発するエネルギー――『鬼脈きみゃく』を感知することに長けている。


「私たちひとには魂脈があり、鬼には特有の鬼脈がある。私たちはその鬼脈を感知して、S級やA級といったランクを付けてきました。でも……」


 彼女は、先ほどまで眼前にいた黒鬼の残響を反芻するように言葉を継いだ。


「あの鬼から感じたのは、鬼脈だけじゃない。……まるで、『魂脈』と『鬼脈』が一つに溶け合っているような、そんな、今まで一度も感じたことのない、おぞましい波動だった。人間と鬼が、内側から混ざり合っているような……」


 その言葉に杉山白梅が沈痛な面持ちであぎとに手をやった。黒鬼が遺した「人間もこっちにいる」という不気味な一言が、現実味を帯びて一行の胸に突き刺さる。


「……それに、あの鬼」


結衣がさらに続けた。


「宙に浮いているように見えましたが、あれは飛行術ではありません。……極細の、髪の毛よりも細い糸のようなもので蜘蛛の巣を作り体を支えていました。無数の腕を使ってその糸を操っていたんだわ」


 自らの力で飛んでいるのではなく、見えない糸に吊るされた人形のように地獄の底から這い上がってきたというのか。その異様な光景を想像し、羅夢多は背筋に冷たいものが走るのを感じた。


「……新種か」


源 雲切が、抜くことの叶わなかった刀の柄を、砕けんばかりに握り締めた。

今勝負をしていたらおそらく負けていた。最強の源ですら動くことすらできなかったという事実が、重くのしかかる。


「……呼吸を整えたら、今すぐここを離れるわよ」


 白梅が力なく声を振り絞った。

門を閉じる仕事は終わった。だが、一行は今、地獄が人間を喰らい尽くす新たなステージに進んだことを痛感していた。


第十二話をお読みいただきありがとうございました!

圧倒的な力を見せつけた、言葉を解する「進化した黒鬼」。 彼が残した「人間もこっちにいる」という言葉の真意とは? 捕虜ではないのなら、一体どのような形で存在しているのか。

地獄の深淵を垣間見た羅夢多たちは、生きて帰ることができるのか。

次回、第十三話。お楽しみに。

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※AIとの共同執筆作品となります。


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