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悪役令嬢以外、関係者全員転生者だった件

作者: 夜霧 檸檬

「リティアーーー!!!」

「リティア」

「リディ♡」

「リティア嬢」


目の前で繰り広げられるお嬢様こと、

悪役令嬢争奪戦。

私は、辺りに薔薇が散って見える彼らから一歩離れ、

空気と化す。


「り、リティア様ーーー!!!」


「そして、何故君がいるんです?ヒロインくん?」

「げっ。お父さん。」

「私は、お前の父親になどなった覚えは無い!」

「お〜い。執事の面がとれかかってるぞ〜w」


お嬢様に両手を広げ、かけよろうとしていた彼女の

首根っこを持ち上げる。

コイツはお嬢様に一体何をしようとしているのか。

純粋なお嬢様を汚すんじゃない!


「べっつに、いーじゃん。

減るもんじゃあるまいし。」


前世からの幼なじみであるコイツは、お嬢様の事を

前世から推している。

前世では、毎日のように俺の家にやって来て、

この世界が舞台の乙女ゲームを紹介しまくっていた。

おかげで俺まで乙女ゲームにとても詳しくなって

しまっている。


「リティア様…。」


前世では何とも思っていなかった彼女だが、

今世では違う。


俺は、後悔している事がある。

俺は、この世界に転生した時に、気づいてしまった。

"俺、悪役令嬢の執事じゃね?"と、いうことに。

乙女ゲームでは、悪役令嬢の執事は、悪役令嬢の

言うことはなんでも聞く奴だった。

つまり、色々と悪いことをして、ヒロインを

いじめまくる。さらに、最後は、乙女ゲームで

ありがちな処刑を、2人仲良くされる。が、

その時の挿絵は、本当にやばかった。

悪役令嬢の執事は、悪役令嬢と一緒に殺される

ことに興奮するのである。あれは、本当に

年齢制限かけた方が良い!!絶対!!と、まぁ、

俺はそんなキャラに転生してしまったのである。

俺は、そんなヤバいやつにはなりたくない!!!

だから、ゲームの強制力でそんな執事になって

しまう可能性が少しでもないように、そもそも

執事にならないようにあらゆる対策をしたり、

乙女ゲームの攻略対象の幼少期のトラウマになる

出来事を起こさないように奔走した。


結論から言おう。全て無駄だった。

まず、お嬢様の家から何故か執事の要請が来た。

これが、俗に言う「乙女ゲームの強制力」と言う物

なのだろうか。身をもって知った。

そして2つ目。攻略対象全員が、転生者だった。

つまり、幼少期のトラウマが、起こらない。

…。いや、そんな事ある??

しかも、仲良くなれなかった。

前世から料理をよくしてたから、自信もあって、

皆に振る舞ったところ、

「こんなんでおとされると思うなよ!!」

「お前の事なんか大嫌いなんだからな!!」

とか、言われたし。

え?俺、詰んでね???

その後は定期的に攻略対象のみんなの家に呼ばれ、

2人きりで談笑(?)する日々。

何だ。一体何がしたいんだ。嫌いなら呼び出すなよ。

一応、1人は親友になってくれたけど…。

大丈夫かな…。俺。


そんな中やってきた運命の日。

とうとう、お嬢様の家からの執事の勧誘が

かわせなくなり、面会をすることになった。


憂鬱な気持ちでお嬢様が待っている部屋の扉を

開ける。


ここで1つ。

俺は馬鹿である。


この日、私の一番後悔していることが起こった。

「貴方、ランって言うのね!

よろしくお願いしますわ!」


…あの時、あの天使のような笑顔に心臓を撃ち抜かれなければ。

一緒にいるうちに、情を持たなければ、

あるいは…。


「…あんた、諦めなさいよ。」

「は?」


昔を思い出していると、大人しく隣に立っている

ヒロイン(?)がいた。


「諦めるって…何を?」

「あぁ。…無自覚なのね。」


無自覚?何の話だろうか。

聞こうにも、考え込んでいる彼女に、何か聞ける

雰囲気では無い。


「リティア様がライバルなのはやっぱり強敵ね。

絶対に負けられないし。」


リティア様?リティア様と、何かの対決をしている

のか?しかも、このキモオタクだったら、普通は

勝ちをリティア様に譲るだろ。どんな対決を

しているんだ、一体。変な事じゃないだろうな。

などと思っていると、彼女と目があった。


「…。ねぇ、とうやくん。」


彼女が俺を前世の名前で呼ぶ時は、いつだって

大事な話である。なので俺も、しっかりと彼女の

目を見る。


「私が、推しのことを恋愛対象として、

見ていないことは知ってるよね??」

「え?あぁ、うん。」


何だ。そんなことか。

確か前世で死ぬ少し前、そんな話を聞いた気がする。

いくら推しが出来ても、彼女が恋愛対象として

見ることは一切なかった。

確か、ずっと昔からとある人物が好きだと、

言っていたような。


「君のこと1番知ってるのは、私だと思うんだ。

それに、君を一生幸せに出来る。とうやくんも、

私と一緒にいたら、楽しいでしょ?…多分。

だからさ、私とつき-」


「ラン!」

「ん?」


彼女が何か言いかけていたが、それを遮るように

声が聞こえてきた。

振り向くと、お嬢様に群がっていた男共が

走ってきた。


「全く。悪役令嬢を足止めできたと思ったら、

今度はヒロインかよ。」


おい。リティア様は、悪役令嬢じゃないんだが?

俺が、365日46時中ずっと傍で見守ってきたんだ。

天使に決まってるだろうが。なぁ。訂正しろ。


「おい。お前、ミアから離れろよ。」

「ん?」


攻略対象の全員が、俺をジト目で見てくる。

ミアとは、今横にいる、攻略対象達を睨んでいる

彼女のことである。


「…二股は、良くないと思いますが。」

「はぁ?!んな訳、ねぇだろうが!!」

「ふざけてるの君?」

「真逆、気づいてないとか?」


どうやら、図星で動揺しているらしい。

全く、お前らにはやっぱり、うちのお嬢様は100年

早い。


「…ランくん、何か勘違いしてるでしょう?」

「はぁ?」


おや。つい素が。

何だ親友よ。隠さなくてもいいのに。

分かってるぞ。君の気持ちは。


わちゃわちゃしていると、突然手を引かれる。


「うわっ…て、リティア様?」

「…ラン。」


手をつないだまま、走り出す彼女。

後ろで絶叫が響く。


お嬢様は、攻略対象には王子様など、俺より身分の

高い人ばかりなのにも関わらず、彼らを選ばない。


「お嬢様。ちょっと、彼らに見られてますよ。

良いんですか?」

「見られてるんじゃない。見せつけてるのよ。」

「はぁ。」


もし、お嬢様が彼らの誰かを好きなのなら、

この光景を見られるのはまずいのではないか。

そう思うが、それを伝えるのが少し惜しいような。

まだ、伝えなくていいような。


「ラン!」


そう微笑んで俺の名前を呼ぶ、キラキラ輝く彼女。

俺は、そんな彼女、俺の手をとって連れ出して

くれる君の事が-


END

読んで下さって、ありがとうございました!

ちなみに、悪役令嬢も転生者です!

嘘ついてすみません。

攻略対象達は、腐男子です。

それをもとに、もう1回見て下さい!

見方が変わると思います!!!

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