第七話) 奴を、誘え!
「これより、イレイサーファイブ第二軍定例会議を開催する。では、乾杯!!」
ある居酒屋でそう高らかに宣言したのは全身青タイツに青いお面をかぶった、イレイサーブルーである。彼はイレイサーファイブ(第二軍)のリーダーである。
イレイサーファイブ(第二軍)、彼らすでにレッド・グリーンたちのいるイレイサーファイブ(第一軍)とは違って、すでに五人で活動している。主な活動内容は政治家や官僚の始末である。にもかかわらず、彼らは第一軍ではない。何故、レッドたちのいる一軍がまだ活動どころかチームも十分にそろっていないにもかかわらず、彼らは一軍として活動しているのか。ブルーたちイレイサーファイブ(第二軍)がどうして一軍になれないのか。彼らたちの会議は毎回、始まって十分と経たない内に一軍たちに対する愚痴へと発展していった。
「どうして私たちは永遠に二軍なのか、考えてみようではないか。」
そう言ったのはイレイサーイエロー、全身を黄色の装束でまとった男だ。彼の発言の後しばらくその場は静まったが照明で体全体が光り輝くイレイサークリスタルがこの沈黙を破った。
「やはり、六人目じゃないの?きっと六人目が増えたら…。」
「確かに。六人目を入れましょう。とにかく六人目を入れましょうよ。」
全身をライトグリーンで纏ったイレイサーエメラルドがそう言った。そしてブルーが何かを言おうとした時、今度はこれでもかというくらいに光り輝くイレイサープラチナがこう言った。
「それなら、奴を六人目として六人目として迎え入れますか?」
「奴って誰だよ。それにそいつが六人目として役に立つのか?」
クリスタルはそう言った。ブルーは何かを言おうとしたがプラチナの「大丈夫だ、奴なら大丈夫だ。」という一言で発言ができなかった。完全にブルーは空気と化してしまっている。プラチナは続けて発言する。
「奴はこういう始末は得意だと思うんだ。なにしろ奴は以前、あまたの人間をなんだかんだで始末してきたという噂がある。奴の名は金井光太郎、またの名をイレイサーグリーン。」
プラチナがそう言うと、すぐにイエローが反対意見を出した。またブルーが何かを言おうとしている。
「何を言うのか、プラチナ!奴は憎き一軍のメンバーなのだぞ。そんな奴をヘッドハンティングしていいのか?イレイサープラチナ!」
「イエロー、いいかよく聞け。イレイサーグリーンはイレイサーファイブ第一軍が結成されてからその活動に疑問を抱いていた。また、以前には結果的には残留しているもののイレイサーファイブの第一軍への脱退を宣言をしている。さらに、先日の新隊員増加の際にはあまりの新隊員の駄目さに絶望し、いつでもヒーローを辞めてもいいように職探しをしているという。つまりグリーンは一軍寄りの人間ではない。」
「だからといって、奴はどちらにしろ一軍に残ってるのは事実である。プラチナ、俺は絶対認めないからな!いいな!」
イエローはプラチナの発言に激怒して、その手に持っていたコップを投げつけ退席した。ブルーがまた何かを言いかけているが言いだせないでいた。それにしてもプラチナは一体どこからこの情報を仕入れているのだろうか。謎だ。
「どうするよ。またイエローが帰っちまったよ。まあそりゃあ、イエローはチーム一、一軍を憎んでいますけど。」
エメラルドがそう言うと、プラチナはこう言った。
「なんていうのかな。毎回の会議ってイエローが勝手に退席して終わりってパターン。まともな会議をしていないことに関しては一軍と同じだ。とりあえず、飲み直そう。じゃあ、行こうエメラルド、クリスタル。この前新しい居酒屋がこの近くできたんだ。いかないか?」
そうプラチナがそう言って退席すると、エメラルド・クリスタルも一緒に退席してエメラルドの後をついて行った。そして今その場にはブルーしか残っていなかった。ブルーは完全に空気となり、完全にその仲間から存在を忘れ去られてしまってた。ブルーはため息をついて一言本音を漏らした。
「あー、だるい。隊長も疲れるよ。そもそも、我々はどう足掻いても一軍にはなれないんだよ。なにしろ上の言ったことは絶対なんだ。…それにしても、また俺だけが残されてしまったよ。毎回この流れなんだよ。はあ、俺も明日からいつヒーローを辞めてもいいように新しい職を探そ。」
そう言ってブルーは重い足取りでその場から去った。
後日、イレイサーグリーンこと金井光太郎は自宅でネットサーフィンをしていた。そしてあるサイトにたどり着いた時、その目を疑った。
「これは……、俺を誘っているのか?…それにしても、何だこれは。」
金井がそう言うのも無理はなかった。なぜなら彼がいま目にしているサイトはイレイサーファイブの第二軍のホームページ。そしてそのトップページにはこう書いてあった。
―新隊員募集中してるよ。特に緑の人、緑装束の人がなら一部を除いて待遇がいいってさよ。 (^0^)<待ってるよ、イレイサーグリーン我々は君を歓迎するよ!> ―
勿論、グリーンはイレイサーファイブの第二軍に転入する気は全くなかった。
読んでいただきありがとうございます。佐津佐です。これといってオチもなく、完全にグダグダな内容になっています。さて、そんなことはさておき二軍どもは一軍になれるのか。そしてブルーは影のある人間になれるのか。まさかブルーが影の薄い人になるとは…。グリーンの過去が知りたい。