第六話)きん、 ぎんが なかまに なった。
この日、イレイサーファイブの定例会議が行われた。そして重大発表があると聞かされたイレイサーグリーンは、この定例会議において一つ心配していることがあった。
「…とうとうこの日が来てしまったか。前々から思ってたけどついに解散がやってきのか。思えば…全く何一つ覚えてないな。これといってまともな仕事もしていないし、そもそもイレイサーファイブにもかかわらず今までレッドさんしか会っていないよな。そりゃあ解散させられてもおかしくないか。はぁ、明日から…あ、レッドさんこんにちは。そして今までありがとうございました。たとえ、今日でこのイレイサーファイブが解散しても僕はあなたのことは決して忘れません。…さよならっ、さよならっ、さよならっ。」
グリーンがイレイサーレッドにそう言ったが、レッドにはグリーンがなぜそのようなことを言っているのかわからなかった。そしてレッドはグリーンに対しこう言った。
「何をおかしなことを言っているんだ、イレイサーグリーン。イレイサーファイブはまだ当分は解散はしないからな。それに重大発表はそれじゃないからな。」
「えっ、重大発表は解散のことじゃないんですか?違うんですね。じゃあ、重大発表は一体何ですか?」
グリーンがそう聞くと、レッドはこう答えた。
「ふっふっふっふっふ、イレイサーグリーンよ、聞いて驚け、とにかく驚け!ついにこのイレイサーファイブに三人目、そして四人目の仲間が増えたのだ。」
「マジっすか!?イレイサーファイブって今まで二人だったんですか?それならなんでチーム名を『二人は』…」
グリーンの驚きをレッドは軽く受け流し、こう言った。
「イレイサーグリーン、言うな。まあ、新たに二人の仲間が増えてよかった。やっぱ、新聞とかの求人広告にのせたかいがあった。」
今のイレイサーファイブの重大な秘密に驚かされたグリーンだったが、求人広告にイレイサーファイブの募集をしていたことにさらに驚かされた。これまでグリーンは新しい仲間はヒーロー専門の派遣会社から派遣されるものかと思っていたのだ。事実、グリーンも『アリス・ヒーロー商会』というヒーロー専門の派遣会社からイレイサーファイブへと派遣されたのである。
色々と聞きたいことがあるがその事は言わずに、グリーンは新しい仲間がどういう人間なのか気になりレッドに聞いた。
「ところでレッドさん、その新しい仲間っていったいどんな人間ですか?」
「気になるか?…そうかそうか、気になるのか。気になるだろ!?それなら教えてやろう。イレイサーゴールド、シルバー、カモンエベバデー!」
いかにも怪しい英語の発音(そもそも人を呼ぶ時の掛け声はそれでいいのだろうか)でレッドがそう呼ぶと二人の人物が現れた。そして二人の人物を見てグリーンは叫んだ。
「どこぞのゴージャス姉妹!?」
グリーンがそう叫ぶのも仕方がなかった。なぜなら新しく入ってきた二人はあまりにも服装がレッド、グリーンと比べておかしかった。一人は全身銀色のタイツにお面、もう一人は全身黄色にお面をかぶっていた。明らかに戦隊の三、四人目ではなく、六、七人目の仲間に近かった。
驚くグリーンにレッドはこう言った。
「グリーンよ。別に驚くことはないだろう。赤、緑の次は金、銀だろう?後、姉妹じゃないからな。二人とも男で血縁関係はないからな。」
「赤、緑の後は金、銀じゃないでしょう!赤、緑の後は青、黄色でしょう!」
「いや、たとえそうでも奴らは全くの別物だ。あと彼らはもうすでに色々と活動しているし。因みに白、黒はまだ先だ。」
「なぜ白、黒はまだ先なんだろう?分かんないなぁ。じゃあレッドさん、青と黄色は主に何をしているんですか?」
グリーンがそう聞くとレッドはため息をついてこう言った。
「…奴ら二軍のくせに政治家や官僚を始末していやがる……」
それからレッドはぶつぶつと二軍の事をぼやき始めた。聞いてはいけないことを聞いてしまった。とりあえずレッド放っておこう。グリーンそう思って新しく入ってきた二人に話しかける。
「じゃあ、レッドさんがこの調子なので自己紹介をしましょう。ええっと…、イレイサーゴールド君でいいよね。自己紹介をお願いします。」
「わかりました。私はイレイサーゴールド。必殺技はカネだ。」
ゴールドの自己紹介にグリーンはどう答えればいいのかわからなかった。
「ゴールド君、カネって何のことかなあ。ドルとか円とかユーロのことを指すのかな?グリーン先輩、君の言っていたことがいまいち理解ができないよ。」
グリーンがそう言うと、ゴールドはため息をついて、そしてグリーンを見下したようにこう言った。
「当たり前ですよ~。それ以外に何があるというんですかぁ。世の中カネで何とかなりますしね。敵に関してもカネを出せば何とかなります。ま、君にはわからないでしょうね~。私金持ちですし。」
とりあえずゴールドを殴りたい。そしてイレイサーファイブの二軍にこいつを始末してもらいたい。グリーンはそう思ったが、言いたいことを胸の中に抑え込んだ。気を取り直してグリーンは銀装束をしたイレイサーシルバーに自己紹介をさせることにした。
「…じゃあ、次。イレイサーシルバー君かな?自己紹介をお願いします。」
グリーンから話を振られたシルバーは緊張しながら自己紹介を始めた。
「ええっと、はじめまして、シルバーイレイサー…、じゃなかったイレイザーシルバーです。必殺技は土下座です。」
また摩訶不思議な自己紹介をされたよ。しかも噛んでるし。グリーンはそう思っていた。いくらなんでも必殺技が土下座はあり得ない。今まで彼はどんな生活を送ってきたのか。聞くだけで恐ろしくなってきた。
とりあえずこれでイレイサーファイブ(一軍)は四人になった。しかしグリーンはこの戦隊でやっていける自信が全くといっていいほどなかった。どう考えてもグリーン達のいるイレイサーファイブの方が二軍と言われてもおかしくない。明日からヒーローをいつ辞めてもいいように職探しをしようか、グリーンはそう心の中で思っていた。
因みに途中会議そっちのけでボヤキに専念したレッドは会議がグダグダに終わった後も、ボヤキに専念し日付が変わる頃までぼやき続けていたそうな。
読んでいただきありがとうございます、佐津佐です。イレイサーファイブに仲間が増えました。掟破りな順番ですが…。さて後一人、どんな掟破りの仲間が入るかどうか。